「灼熱の瞬間」感想

「灼熱の瞬間」感想/二見書房
J・R・ウォード著

 所謂、戦う英雄たちの苦悩を、綺麗事をぜーんぶ取り除いて書いてる。すごいっすね……やっぱりウォード先生すごいっすね……BDBのときも主役たちに全く容赦無えなって毎回毎回思ってましたけど話違っても作風同じですね(怯えながら)。
 もおうなんてっか、読んでてなんども「マジか……」って顔を青くしたよね。もうしょっぱなからあらすじにもきちっと書いてある展開で、寸分の違いなくこれっぽっちも間違いなくあらすじの通りでした……マジか……。
 はっきし言ってすごいロマンス含めて全体面白かったです。これはマジ。繰り返して言うと本当に何度も「マジか……」ってなったし実はバス内で読んでて泣いたりしてもうたけど(朝から完全不審者)、面白かったです。さすがウォード先生。いやでもさあ、なんなの?ほんと登場人物に、特に主役への容赦のなさは本当にこれなんなの?そういう縛りでもあるの?我ながらいい加減しつこいな。
 てなもんで、ヒロインにもだし、ヒーローにもだし、容赦ない現実も肉親とか友人とか同僚とかのしがらみとか、もう生きてくって本当に大変だし、危険な現場に出向くの本当に大変だし……あかんやっぱり会話がループになってる。いやしかしだね!そういうのも全部乗り越えていくのね!主役たちがね!その辺りのカタルシスも素晴らしくてね。途中で読むのを止められないのよね。面白かったです。
 読んでいてですね、両主役がお互いのこともう本当大事に思ってるのが分かるんですけど、いろいろあって完全両思いにはなれなくて。こんな展開辛い……。なんなのこの縛り多過ぎのこれっぽっちも甘酸っぱくない両片思いはよお……。よう考えつくわこんなネタ……。マジか……(サブリミナル)。
 いや最後にもまたマジか……って展開になったんだけどねえ。最後の最後でヒーローの行動でですねえ。あれすげえっすね。読んだ?あなた読んだ?私こんな使い方されるって期待もしてたけど見事裏切らずスッパーンとねえ……。素晴らしいかよ……。
 締めにニヤニヤしつつ。しかしこれシリーズものでして、主役たちのロマンスは決着つきましたが事件はまだ闇の部分もあるし「次のヒーローです」「さらに次のヒーローです」ってイケメンもぞっろぞろ出てきてて、ああこれもまた面白いシリーズになるんだろうな、と思いました。楽しみです。

反省しないのもあきませんが責めすぎるのも駄目という一作。

「恋人たちの航路」感想

「恋人たちの航路/シーサイド・トリロジー・スペシャル」感想/扶桑社ロマンス
ノーラ・ロバーツ著

 あの末っ子が帰っていた!同時に彼女もやっぱり帰ってきた。「お前もか」と思わず言ってしまう。いやまあ完全な想定の範囲内でしたけどね。
 いやそうですよね。あの三話目のあの終わりであっけなくおさらばなワケないっすよね。
 てなもんで我らが悩めるヒーロー、おっきくなって戻ってきたんですけど。相変わらず面白かった。主役二人のロマンスもすっげえよかった。そして三匹のおっさんになった元ヒーローたちも素晴らしかった。いやどんだけ堅いパンなんだよ。
 そう。画家になって故郷に帰ってきたヒーロー。ハイソなヒロインに出会うんだけど、今作の大好きなところは、そういう出生とか育った環境がめっちゃ違う二人が出会って惹かれて、意識のすりあわせでもしようぜってなったときに、何が好きかどっちが好きかとか話し合う部分があってですね。ヒーローが「犬派?猫派?」ってヒロインに前のめりになって聞いてて、ヒロインがどっちかというと猫って言ったらもうね、最悪か!みたいな態度をとったヒーローが、もとの三部作の内容と相まって面白くて笑い転げまして。もうこの辺ノーラ先生は天才よね、って思う。
 今作のさらにすごいよな、って思ったところなんですが、ヒーローの母親ですねえ。このトリロジー+スペシャルの諸悪の権化のヒーローお母さんなんですが。ヒトの醜悪な部分もさらっと描くよなあ、そしてえぐすぎないギリギリのライン?を責めてくるよなあと思う。ヒーローのおかあさん、基本何も満足できないタイプなんですが、ものすごい歪んでるのね。自分の子供でさえ幸せになるのが許せなくて、多分彼女はお金とかでなく、本当に他人が幸せなのが許せないんだと思うんすよ。自分が満たされないから他人も満たしたくない。このお方、自分の妹(=三作目のヒロインですな)のところに当時四歳の子供だったヒーローと乗り込むんですけど、ヒーローと妹が心を通わせ合うと、それが憎くて息子を連れてっちゃうんですね。正直、子供居ないほうが生きて生きやすいんちゃうの?って思うんですけど、子供(=ヒーロー)を置いていくと、彼らが幸せになってしまう、それがどうしても許せない。なんで、サンドバッグになる子供も結局、足手まといになると思うんですけど連れてく。このゆがみ具合がすげーよなーと感心しまして。子供かわいさでないんですよ。やっぱり人間が一番怖いよね、と思うよね。それだけじゃないんですけどね。そういう人間書いてしまうノーラ・ロバーツもまたすげえよな、と。
 ラストもねえ、再生も兼ねてるのかも知れないですけど、こういう大事なものスッパーンと切り捨てる潔さも、世界に愛される作家はやっぱりすげえよな、と思うわけです。
 シーサイド・トリロジーシリーズ、たいへんたのしゅうございました。

悪い人間のために自分の好きなことを諦めたら負けなんで戦おうぜ、という一作。

「明日への船出」感想

「明日への船出/シーサイド・トリロジー3」感想/扶桑社ロマンス
ノーラ・ロバーツ著

 1と2の感想で触れるのを忘れていたんでここでまとめて言いますがずるい。キャラ立ってる男前、それだけでもう十分美味しいのに楽器弾けるのはずるい。別作品ですけどイローナ・アンドルーズ作のHidden Legacy シリーズでも作中にて某ティーンエイジャーがなんでもできるヒーローに向かって「ギター弾けたらもう俺は死ぬ」つってたのよくわかる。誰だって思う(主語がでかい)。大抵のことをこなす男前が楽器まで弾くのはずるい。
 ずるい!!!
 てなもんで今作のヒーローはねえ!着道楽でインテリでちょっと斜に構えちゃう陰あり若干ひねくれヒーローなのにピアノ弾くんですよ!ずるくないですか?しかも二人の兄弟もさあ!それぞれギターとバイオリン弾けて兄弟でセッションとかするんですよ!絵面!絵面でもうずるい!惚れるなという方がむり!!!!!
 ノーラ・ロバーツ先生はこういうとこシレっとぶっこんでくるのよずるいですよね。
 ということで序盤、物語とさほど関係ないヒーローが楽器できるのは萌えという部分をうっとおしく語りましたが、ロマンスも大好きです。さっきも言ったんですけどちょと斜に構えたヒーローが、これまた器用そうでそうでもないヒロインと出会って惹かれて、さあ恋が始まるよ!てないいタイミングで秘密が暴露されるんです。ここの構成がもう神。私の感想には頻繁に神が出ますが日本だから気にしない。神。
 このシーサイド・トリロジーの感想で毎回言ってる気がするんですけど、やばくないですか読ませ方?見せ方?読者のカタルシスを煽るやり方(言い方がえげつない)がもうさすがとしか言い様がない。むろん好みもあるんでしょうけど、でも本の帯の「世界で愛される」って煽りが頷けるんですよ。国籍とか文化とか関係なく、ここで人がこう動いたら読み手は感動するってのが計算なんだか天然なんだか知らんですけど、でも万国共通で人間はこういう部分に心動かされるってのを分かってる。それを描いておられる。そして海外作品にも関わらず、日本人の私がアメリカの歴史とかモノの考え方とかほっとんと知らない私が読んで素晴らしいなって思うんですよ。こういうところノーラ・ロバーツ先生はやべえなって。
 で、そういう話はおいておいてですね、今作どこでド萌えしたかというとですね、ヒーローとヒロインが船上にて事を進めた後ですね、汗だくなってるしこうしようかってヒーローがヒロインを海に投げ込んでですね、自分も飛び込むシーンがあるんですけどね、そこ脳内再生して素晴らしすぎん?って悶えて〜からの、ヒーロー陸に上がって、出会った兄弟に開口一番「馬鹿野郎」ってキレられてですね。速攻バレてますやん!て爆笑したんですよね。……え、あんだけノーラ先生すげえって語っておいて萌えの部分は下ネタなん?ってどん引きされそうですね。ごめんなさい私の得意分野は下ネタと再生です。
 あとトーチャンが息子に肩貸してて大笑いですよ。

社会的には成功してんのに恋愛面で不器用な二人が素晴らし過ぎた一作。

「愛きらめく渚」感想

「愛きらめく渚/シーサイド・トリロジー2」感想/扶桑社ロマンス
ノーラ・ロバーツ著

 二作目。ほのぼの切ない。ほのぼの切ない(二回目)。いや実を言うとヒーローの過去とそれに伴う自身への枷を思うとどうにもやるせない部分もあるんdすけど、基本ほのぼの切なく、そして時々コメディ。あかん兄弟の奥さんが丹精込めて育ててる花をひっこぬいたらあかん。ごめんなさいめっちゃ笑ってしまいましたが本当にあかんからね! いやもー本当にノーラ・ロバーツはこういうとこめっちゃ上手いんでさあ!鳥肌ものよね笑ったけど。
 で、このたびは両片思いな主役がやきもきしながらちょっとずつ周りの背中押しもあって、じわじわくっついていく素敵なお話なんですね。ヒロインはバツ一子持ちなんだけど、すっごい頑張り屋さんで、実のお父さんとのすれ違いもあって素直になれなくて、自立してやらああ!と若干やけ気味にもなってるんすよ。でもヒーローがね、ヒロイン頑張りすぎよって、本当にヒロインのことだけ心配して思って言ってるんだけど、ヒロインに微妙に届いてなくて、こうやきもきな序盤も素敵なんですよ。
 このたび男性の厚い友情もの読みたい!て教えて貰った作品なんですが、こちら女性の友情も華麗に描かれててほんっと好き。ノーラ・ロバーツの書く友情は本当に素敵でいいんですよ。大好きっす。
 てなもんで、このたびのヒーローは寡黙系な、でもユーモアも解してて、でもって熟考して愛する人の為なら自分を犠牲にしちゃうような御仁なんですね。加えて幼少の頃の虐待もあって。しかしねえ、虐待そのものより、それを当然と見なした遺伝子提供者(敢えて親とは書くまい)と同じものが自分にも組み込まれてるって悩む部分?本当に虐待は罪深いよって思いますよね。ノーラ・ロバーツはそういうところもガッツリ書いてきなさるんで、凹んだりもしますが一方ですっごい考えさせられる。
 前作同様今回も素敵でキュートなラストなんですよ。お父さんいい……ピーナッツいい……。ヒロインの娘もめちゃんこカワユイ。ほのぼの切ない。

ほのぼの切ない(五回目)一作。

「海辺の誓い」感想

「海辺の誓い/シーサイド・トリロジー1」感想/扶桑社ロマンス
ノーラ・ロバーツ著

 ツイッターにて、男性達の厚い友情が楽しめて、その男性二人の間に恋愛感情は一切無く、そして彼ら二人と一人の女性との三角関係も無し(友人が別のロマンス平行は可)というお勧め作品無いですか、と昨年5月にゆる募したところ、こちらの作品をおすすめ頂き買って、今ようやく読んだという状態なんですわ。ええ。
 てなもんではっきし言って上記希望通り過ぎて逆に恐ろしかった。ここここんな希望通りの作品あったんだ!てびっくりですよ。
 なんというか申し訳ない!ぶっちゃけヒーローと次作ヒーロー候補達の会話とかが楽しすぎて主役二人のロマンス、そんな入り込めなかった!いや全然不快とかおもんないとか全くなく、ロマンスも素晴らしいものだったんですけど、いや本当に申し訳ない。友情が素晴らし過ぎてもう本当にそれだけで一生読めるな、と思ったくらい最高でした。最高でした。最高でした〜!楽しかった!
 いや知ってたつもりだけどやっぱノーラ・ロバーツ先生はすげえわ。世界トップクラスって言われるのわかる。いーやもうこれ絶対試験に出るからね、ってレベルなんだけど改めてすごさを感じた。ちょこっと込み入ったサスペンス含めながらも上質のロマンスメインに上げてて、社会問題もきっちり逃げずにぶっこんでるのに、お約束とも言えるカタルシスもきちんと挟み込む力量、もう語彙無くしてすごいと思いました(小学生)しか言えん。すごすごる。
 いっやーん本当さ、ヒーローも次作ヒーローも次々作ヒーローもみんな個性豊かなのに、きちんと養父から粋な心を引き継いでてさ!その描き方がもういかにも心得てる感?さすがなんですよ。これしか言ってないな私。どのヒーローも持つ、そこは引けんな!って共通の頑固さとかまでもが愛おしい。ダメなところも含め愛すべき人物像が生き生き描かれてるんですよ。もうどこを取っても美味しい。
 いんやまあ、今作ヒーローは本当にさ、現実おったらどうなんかな?って思えるくらいの押しの強さなんだけどさ、でも魅力的なんすよ。で、その強烈なヒーローに一切負けてないヒロインもまた素晴らしくてさ。キャラ造形が神がかってるよな。
 そしてトーチャンははっきり言え。「この作品三部作なんで一巻から秘密言えないんだ神(作者)の意思さ」って息子に言え。

思い立ったら吉日ヒーローの一作。

「愛を夢見た家なき子」感想

「愛を夢見た家なき子」感想/ハーレクインロマンス
アビー・グリーン著

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 アビー・グリーン先生ならやってくれると信じてた!久しぶりの胸毛ヒーロー(当方比)ということで、絵に反映させましたがどうでっしゃろ。

 個人の感想ですがアビー・グリーンの作風ってば「あーあーあーあーあーっ寸止め!」というのが多い気がするんですが、今作は割とサクっと一線を超えてて新鮮だった。しかしそこすらも伏線なんですよというのがこの作家の素晴らしいところよ。てかヒロインが行方不明になったと思ったら次の章でアッサリ見つかっててあらま!と思ったりもしましたが、やっぱり相変わらず本人同士以外の枷とか重しとかを上手く使ってはなしを面白くいい感じにややこしくしてくれる力量がもう好みなんでしょうな。
 今回のヒーローはいろいろ感情爆発させてしまったのちに冷静になってシラっとしてしまう御仁のようで、そこがヒロインの心を不安にさせてて、この辺の個性?ヒーロー像もなかなか私好みだったんですよ。ええ。
 ですがね、ここからネタバレになるんですけどね。今作のヒーローが可愛すぎと思ったところはですね。この主役お二人は結婚式直後の初夜で子供が出来てしまうんですけどね。ヒーローは今まで生きてきてこのたびのような激情に駆られ事を運んだことがなくってですね、でもヒロインに対してはそのセーブが効かないからね、ちょっとイライラしてたりもあるんですよ。で、ヒロインが妊娠して、ヒーローは「自分も我を忘れて欲望をコントロールできねえし、いい機会だった。彼女と赤ちゃんの健康の為にも手を出さないでおこう(超訳)」って一大決心してんのに、ヒロインの主治医が「安定期入ったし奥さん健康だからお腹の赤ちゃんの負担にならない体位だったらどんどんやっていいよ!(サムズアップ・超訳)」って太鼓判押してんのね。そしたらヒーローが「え……やってもいいんすか……?」ってガチで動揺しててね。なんかこう笑っていいのか感動していいのか分からんかったよ。
 もちろん主役二人の恋のお話なんですけど、家族とか血族とかテーマがあってそっちも面白いなって思いました。いい話だった。

古き良き?ツンデレヒーローな一作。

「捨てられたガラスの靴」感想

「捨てられたガラスの靴」感想/ハーレクインイマージュ
サラ・モーガン著

 サラ・モーガンは医者主役もの多いんですけど、どの主役でも言えるのが、すごい仕事熱心で医療に対しひたむきというので、すごい好感度毎回高いんですけど、それ故今回はちょっと残念だな〜と思ってしまった。
 いや、ヒロインがすごい熱心なお医者さんなんだけどさ、概ね気高い精神を持っていたんだけど、若干気になったというかまあ自分でも気にしすぎじゃね?とも思うんですけど。医者ヒロインがまがりなりにも世話が必要なヒーローに対し、世話係でやってきてんのに、復習の為ってんで激辛の食事を黙って食わせるのはどうかと。主役が医者以外だったら普通に笑って楽しめたシーンだと思う。しかし高潔な医者設定だったんで、よけいにこのシーンがモヤった。なんつうか本当に完全に私の嗜好なんですけど、物語の中の、「高潔」とか「有能」って設定のお医者さんなら、それを行動で示してクレヨンとかなり強く思う質で、とりわけお医者さんとか研究者キャラには厳しい目で見てしまうんですよ。てなもんで、他の人はそう気にならない部分だとも思う。

 でさあ、そこを無視したらもうさすがサラ・モーガン!て感じよ。口が達者なヒロインと、ちょっと斜に構えた俺様ヒーロー。あああああああああもうす好き!すごい好き!ヒロインとヒーローのやりとりがたまらん!再会のシーンとかワクワクで読んだ!好き!!!
 あとヒーローが若干わかりにくくデレてる部分もサラ・モーガンぽくて好き……!あとでこの人めっちゃデレてたんやな、って分かるのも好きぃ!
 なにげにヒロインの兄カプの行く末をぶった切りして終わってたんで、続編というかスピンオフあるんだね。……あ、あるんだよ、ね?

両片思い美男美女医者王族ケンカップルてんこ盛りな一作。