「真冬の千一夜」感想

「真冬の千一夜/ホワイト・イブの奇跡」感想/ハーレクイン
アビー・グリーン著

 こないだ出てた二部作の一作目にて意味深に出て来たヒロインのお友達。ヘイヘイヘイ、わかってんだぜスピンオフで出るんだろう?構わぬ遠慮せず出し給え!と待っておったら、こちらの短編で登場しました。
 アビー・グリーンにありがちすぎる、モテモテ大富豪ヒーローが女で痛い目にあって女遊びするようになって、女遊びに飽き飽きしてるところに颯爽とヒロインが登場し、ヒーローは「いやいやいやまあうん好きだよ?彼女のことは好きだけどそういう特別ってなんじゃなくてさあ」と余裕ぶっこいてたらヒロインに逃げられそうに……という例の流れですが、何度も言いますが、幼少の頃水戸黄門と暴れん坊将軍と好きすぎて様式美の素晴らしさにどっぷり浸かって来た私にこの「大筋で好きな流れをいろんなシチュで楽しむ」エンタメはもうある意味麻薬だったね!やめられないね!中毒だね!吉宗が「成敗!」って言うようにヒーローも最後は「愛してる」って言う。これですよ!これなんですよ!

 なんでこんな枕が挿入されてるかというと、物語がちょっと短くて感想書きにくいからなんですけど、やっぱアビー・グリーンも好き。世間的にはちょっとアレかも知れんですが、今作ヒーローは子持ちで、まだ学校入る前っぽい年齢程の実の娘がおりましてね。女性とは割り切ったおつきあいしかしてないのに、娘にメロメロでしてね。将来的には落ち着く予定かもしれんけど、娘がおってそれもどうなん?とは思いつつ、ことあるごとに友人に娘がいかにかわゆいか説いておって尊い。なにこのヒーロー、お前が可愛い。
 そしてですね。今作ではそのヒーロー娘がものすごくいいキャラでしてね。最後の最後でニヤっとさせられるキューピッドぶりよ。こういうの大好きなんで、そして短編でさらっと読めるのも良かった。楽しゅうございました。

ヒーロー娘がお利口で、将来普通に父の後を継いで社長とかになってそうな一作。

「聖夜のフェアリーテイル」感想

「聖夜のフェアリーテイル/ホワイト・イブの奇跡」感想/ハーレクイン
サラ・モーガン著

 できる女子三人が「アーバンジニー」という仕事を立ち上げて恋も成就するシリーズにて、二作目で登場した脇役が主役になっておりました。いや、このアップル気になってた。多分4作目くらいで出るんだろって思ってたら、こうして短編でお披露目されましたね。これはこれでよき。
 男の見る目が無いというよりは、経験不足で悪い男にひっかかってしまった頑張り屋ヒロインが、彼女の良さを十二分に理解している完璧な男=ヒーローに癒され愛され幸せになるロマンスで、まさにクリスマスにふさわしい内容になってました。てかクリスマス……もうすぐ夏も終わるというのに昨年のクリスマス特集今読んでる……積み本の多さがここで露呈。
 そして様式美になりつつある物語の導入。なんかすごくサラ・モーガンっぽい! いやしかしいいよねこういう、ずっと両片思いだった二人が、こういった小さなきっかけで坂を転がり落ちるようにロマンスが進んでいくの。たたた楽しい。そんなんで、こちら二人は仕事仲間で、現場ではそういう色を一切見せないけど、プライベートではじわじわ距離が近くなるのってのが美味しい。でもってヒロインが抱えてる問題も一緒に解決されてしまう展開が尊い。ヒーローがまた完全無欠ではないものの、ヒロインの苦悩をわかりつつも、その垣根をガッと蹴散らしてやってくるのがいいんすよ。道中で、ヒーローも悩んでいるのもまたよろし。
 ヒロインが連想ゲームで、単語を書いてくのにだんだん際どくなってくネタが好き。面白い。こういうオモロ設定をロマンスに繋げていくの、読んでて楽しくてテンション上がるよね。好き〜。

語彙増やす方法を真似したくなった一作。

「強面の騎士との結婚生活 〜契約書付き!〜」感想

「強面の騎士との結婚生活 〜契約書付き!〜」感想/夢中文庫
さえき巴菜著

 前作「お隣の騎士との〜」のスピンオフで、こちらにて出てきていた十二歳だったヒロイン妹が年頃の娘さんになって、ヒロインとして再登場です。あの時はあどけないなかにもちょこっといたずらっぽさがあった愛らしいお嬢さんでしたが、大きくなって背が伸びてシュッとして美人になってしかもひn(略)とか!美味しい!ありがとうございます!美味しい!
 ひそかに前作ヒーロー、つまり義兄に憧れてたとか、ハハーン、この作品でワイを萌え死させる気やな、容赦ないぜ全くとか余裕ぶっこいてたのもまあ最初だけでしたね。寝食を忘れて読んだよね。うそごめんなさいご飯は食べた。寝なかっただけ。
 今作は前作より恋愛面だけでなくちょっぴりサスペンスというか謎?も入ってる設定になってました。うううこういうのもイイ……謎ヒーローイイ……ちょっとした(本当はちょっとしてない結構な)トラウマを少しずつ読者に伏線で知らせていきながらロマンスも進める上手さよ……さすがです……。
 てか!強面屈強ヒーローと!シュッとして華奢でひn(略)ヒロインとの組み合わせ!美しすぎる黄金比!これよ!これなんだよ! しかもヒーローは根がめっちゃ優しくて!ヒロインに劇甘デロ甘で、でもその真意に微妙に気付いてないヒロインが天然かましてヒーローの理性をボッロボロにしていく過程!最高はーあん最高!美味しい! こちら姉妹の話をおかずに三合炊きのご飯全部食べられるよね。すんませんお初のシーンだけ何回か読み直した。尊いので読み直した。しかもその後一旦姉にシフトしてまた妹に戻って読んだ。ご飯が進んだ。

マジレスすると婚姻前の取り決めはガチで大事やでっていう一作。

「お隣の騎士との政略結婚作法」感想

「お隣の騎士との政略結婚作法」感想/夢中文庫
さえき巴菜著

 しょっぱなのヒロインとヒロインのお父さんとの会話を読んで魅了された。「あああああこのヒロイン!アタイの好きなタイプ!」てなもんですよ。「一言ですもの」ハヴアああああ好き!
 ヒロインが知らないところで婚約破棄されてたところから始まりなんですが、ヒロインがそれ聞いても「なんの感慨もわかねえな(超訳)」てなクール!超クール!というか本気でどうでもいいっぷりがありありとわかる出だし。それと楽しく対比されてるヒーローへの一挙一動が可愛すぎる。意識しまくりんぐ。しっかり者兼意地っ張りの小娘ヒロインに対し、これまたチャラっ!て感じで実はヒロインにベタ惚れ!のヒーローを用意してくる小憎さがもうね!この「出会い最悪から始まるロマンス」の美味しいところをおおいに楽しみました!うまい!
 初夜の、ヒロインの啖呵が萌え萌えすぎてたまらん。あとヒーローの嫉妬もイイ! そんなんでお互い微妙に素直になれん感じのまさに由緒正しき政略結婚ロマンスですが、ひとつ難を言えばこちらの作者さんが作中でしれっと飯テロをやらかすのでお腹が減ります。あとお互いの幼少の頃の、ヒロインの考えてたこととかヒーローのかさぶたのエピソードとか小技というかニヤっとしてしまうネタも好き〜。今作はほんわか楽しい感じのロマンスでした。

お互い翻弄されてた一作。

「鉄仮面弁護士がウブな理由」感想

「鉄仮面弁護士がウブな理由」感想/チュールキス文庫
青井千寿著

 かぁっかぁっかぁっ……かわえええええええ〜いやでもどちらかといえばしっとり系の年齢にはなってるんですけど、いやむしろそれ故か!なにこの二人かっかわいい!かわいいんですけどぉ!
 と身悶えしながら読んでおりました。再会ものロマンス。もうとにかく主役二人が可愛い愛おしい。幼い恋でも真剣だった二人が、ヒーローの進学に合わせ一旦別れてしまい、そして大人になって偶然再会して再び花開く恋。てなもんで年齢層若干上目のもはや分別もついた二人が、でも若いときに培った愛情そのままに惹かれあってるからね!もうね!かわええのよ!くどいけどめっさ可愛い!これしか言ってないな!語彙!?知らん!
 最初の元凶はお友達のいらん一言で、お互い意地をはってしまうところのすれ違いからの!誤解が溶けるあの瞬間の爽快感!シーブリンスか!夏ですね!すんません発売されたの昨年秋!どんだけ本積んでるの!?いや私はまだマシなほうだから!多分!!!
 そんなんで仕事はできるのに思い違いからちょと不器用な恋になっちゃってる大人二人が可愛すぎて笑みが溢れるのは仕様です。バス内で読むのは危険でしたが読みました。えっちなシーンも真顔で堂々と読んでおります。楽しかったです。そういうちょと苦くこじれた部分も入ってる甘い濃厚ロマンスなんですが、相変わらずこちらの作者様は細かい部分へのこだわりがハンパないですな。至る所に小ネタが散りばめられてて毎回どんだけ取材というか調べ物されてはるんだろうとほんと感心します。
 あとねヒーローの「○○なめんな(ネタバレにつき伏せ字)」のセリフいいよね。すげえ好き。

初心忘るべからずという一作。

「緊縛の檻」感想

「緊縛の檻」感想/ソーニャ文庫
泉野ジュール著

 悪いけどヒーローがロシア人ぽいだけでテンション上がる。頑固一徹でミステリアスで存在がもう淫美(ロシア人に謝れ)。
 そんな!わけで!影のあるおそロシア人ヒーローが!無垢な!ヒロインを!タイトル通り!な展開になるんですが。
 エロいよね(ほくそ笑み)。
 こちらの作家さんのお話は西洋ファンタジー系の冒険ありロマンスをいくつか拝読しましたが、今作は近代?になるんですかね?世界風の一昨。ファンタジーな要素は一切無し。ですが個人的に「オークション」「娼館」「縛り」という設定がどこかしら異世界風な要素がある、気がしておりまして、なかなかにファンタジーな空気も楽しめる内容になっておるのではないかと。あくまで個人の感想ですが。
 泉野さんの産み出すヒーローは苛烈な情愛をガッツんガッツんヒロインと読者に見せ付けてくれますが今回も素敵にご披露下さいます。いいよね!んもうこういう狼!て感じの深くてちょっと重いまでの愛。つがいを一生愛しますが!という態を微塵も隠さない潔さ。さらに今回はヒーローがそういう道?に進んだ過去もあんまり甘くはないネタにはなっておりますが物語に深みを与えておるのではないかと。あと勝手にニヤニヤして読んでましたがヒーローの外観とか動作とかの描写に、上品に言えば、今作はより色がより深く表現されておった気が、ダイレクトに言うと歩いただけでエロいな!て思ってました。
 ヒロインもよかですよ。なんというか無垢なヒロインが開眼して深みにハマっていく過程を読んでる背徳感!好きだ!
 あと忘れてはいけないのがヒーローの秘書!申し訳ない私のために!!!やめてその見た目と性格で隙あらば愛称で呼ぶのはやめて堕ちるから!
 最後に完全な好みなんですけどタイトルが簡潔で渋くてしかも内容にも合致して硬さの中にそこはかとない妖艶さも混ざらせててすごいと思いました。

お金で買えない価値がある、買えるものは貯金で、な一作。

「ギリシア名家の遺産」感想

「ギリシア名家の遺産」感想/ハーレクインセレクト
ジュリア・ジェイムズ著

 ジュリア・ジェイムズの「実はヒロインには重大な秘密があり」って構成が個人的にはツボにはまることが多くて、そのカタルシスが好きでよく読んでおりますが、でもって今作もそれがあって非常に楽しい内容なんです。が、ジュリア・ジェイムズは「ものっそい貧相な女子に見えたけど手を入れたら超絶美女に変身」て展開もよくやってて、まあ「華麗に変身」てジャンルがあるくらいなんでジュリア・ジェイムズに限らずよくあってかつ愛されてる設定なんですけど、何が笑えるって、ジュリア・ジェイムズのヒーローって、ほぼ毎回「あまりにも酷い外見なんでちょっと俺の財力で磨いてやろう→あ、でも手を入れても全然変わらんかったらどう慰めたらええのや→ヒロイン登場→あばばばばばばbなにめっさ美人うわあああああええええ(陥落)」というヒーローの上から目線手入れからの美人判明手のひら返しの振り幅がすごい。十三人の刺客の主役甥である島田新六郎と実写映画の荒川アンダー ザ ブリッジの星を演じた山田孝之ぐらいの振り幅。なんというか「ここときめくシーンですよ!」ってアピールかもしれないですけど申し訳ない毎回笑う。如実に笑う(イミフ)。
 いやーでも前述しましたがこちらの作家さんのヒロインの謎が明らかになってからのゴタゴタとか和解とかかなり私の趣味に合致するんで、今回も楽しかったです。あとこれは本当に個人の好みに左右されるとは思うんですけど、ラストの大岡越前的な展開も好き。辛いけど愛する人物の将来を思って…ってやつ。むろん愛する人のためにガツガツ最後まで足掻くのもアリだとは思うですよ。しかし今回のようなラストもヒロインの行動も私はかなり好きですな。

ほぼ他人の二人がわけあって一緒に暮らすスーパーターボ版な一作。