「盗まれた純潔の花嫁」感想

「盗まれた純潔の花嫁」感想/ハーレクインロマンス
アビー・グリーン著

 出だし、勝手に「傲慢で拗らせまくった言いがかりヒーローなんじゃろ?」って思っていたら全然違ってた。なんというかツンデレヒーローでした。デレがでかい。ヒロインに迫りまくって口では言わないけど(ここがミソなんですが)態度から好き好きオーラが出まくっていて甘やかして仮面俺様ヒーローだった。正直好き。これはこれでよい。アレですわ作家先生の振り幅がいい。
 だが忘れたらあかんやろうな……この手の影があるけどいい人ヒーローが出るってことはもっと辛い事件が起こるんやろうな……って訓練されて拗らせた読者は思うんですよ。幸せでラブラブな場面でも「この先が怖い!」とか勝手におののいてるんですよ我ながら面倒くさい……。
 と
 いう
 わけで!
 やっぱり来たよ……こういうことやぞ辛い……これまった正直言って好きなクセにガンガン拗らせてヒロインに迷惑ばっかかけてるヒーローとそれに振り回されるヒロインよりこれの展開の方が精神的にくる……でもこういう話も好きなんでああああああああ(泣き)ってなってるのよ。
 最後は大団円でさあ、こういうのがいいの。世の中辛いことが多いけど本のヒロインは最高に幸せになってもらいたいのよ……。そこが創作の醍醐味なのよ……。甘くて美味しいパンケーキ食べにきて甘くて美味しいパンケーキ出してくれる店がいいのよ本当に。
 いい。いい話でした。今回銘打ってなかったけど三部作素晴らしかったです。アビー・グリーン好きだわ……地元に強力なライバルがいて発売日の午後に地元の本屋さんに行っても売り切れて無い場合があるアビー・グリーンは本当によい。そしてそんなときは駅前まで買いに行ってる、ええ。

辛さは折半楽しさは二倍の一作。

「皇帝陛下は御厨の華を喰らう」感想

「皇帝陛下は御厨の華を喰らう」感想/ハニー文庫
北篠三日月著

 ネットで立ち読みできましたので読んでみてがぜん興味持ったので入手しました。
 作者様は今回のようなヒロインは果たしていいのかという趣旨のことを後書きに書いておられたのですが、全然問題ないです。むしろすばらしかったです。いやこういうのもっと頂戴!
 志も高く博識でなのに……なんというかあなた……そ、そんな可憐で可愛くていいんですかね……これはもうヒーローメロメロになるやつなのでは……って思っていたらヒーローもねえ……負けてない上質、いや最高級の俺様ヒーローでしたね……うま……最高級なまこうま……
 出会いからしてもうぐいぐい読者をひきつける内容なんですが、こちら所謂「おちもの」なんです実は。ヒロインが落ちて弱っている謎のイケメンを拾って世話をしたら恩返しされる系の。個人的にど萌え最高潮だったのはヒロインがヒーローの正体を知る直前のヒロインの不安な心理状態のところ。このあとにもうめくるめく世界が来る来る来る〜!ってもう期待マックスになるんです。アレですわ映画でも漫画でも実際にキスしている場面より触れる直前の絵面のほうがなんかドキドキするアレ、相変わらず分かりにくい例えですがそんないい感じなんです!
 あとごはん部分ね!こっちが癒やされる!おかゆたべたい!
 最後ですが漢方とか食に関するうんちくとかすっげえなこういうのはどこでどう調べて作品に生かすの?って個人的にものすごい知りたいです。

健康の基本は食からという一作。

「花笑むワルツ 男爵子息の焦れる指先」感想

「花笑むワルツ 男爵子息の焦れる指先」感想/夢中文庫
さえき巴菜著

 マリオとルイージの話(違う)。
 かなりのネタバレ入ります。
 外堀からせっせせっせと埋めて本丸は目の前、とつg……ってなってたら軍師?が本丸俺も攻めたけど負けたねんって耳元でぼそっと囁いて「ええええええ?」ってなって。そうして拗らせてしまった御仁は本丸に「ねえ軍師の戦略のどこが駄目だったん?」って直接聞くやつ。本丸としては「はあ?」って。そりゃそうやでだって読者はそのすれ違いのもだもだが楽しいんやもん仕方ないよ!
 ということですれ違い両片思いラブ!を相変わらずのカラフルな筆力で鮮やかに描いて下さっておる一作でした。可愛かった。ええお兄さんが可愛かった。ええヒーローですね、こじらせっぷりがもう非情に素晴らしく仕上がっているヒーローでした。ここ五十年で最高の仕上がり。
 百合の花の使い方?がねえすてきなの。ヒロインとヒーローとの思いが違ってるのがまたいいの。そのすれ違いというか見解の違いがまたおいしい。描写も美しいんですがモチーフ使うのも上手いよなあ〜そして相変わらず飯テロやるんですね〜ハラヘリ〜。
 脇の学者お父さんと「待たせたな!」と颯爽と現れるイケメンお父さんのタッグも好きなんですけど、でもやっぱ今作は回想以外で一度も姿を見せないのに強烈な印象を見せてくれたルイージも好き。ルイージ言うな。マンションで幽霊退治してないぞ。
 あと耐えてたヒロインがヒーローにプチ切れる場面でそのせいでヒーローが理性ぶん投げる場面は文字に起こして壁に貼っときたい。

 策士策におぼれる一作。

「狂獅子陛下と猫かぶり姫のなんてすてきな政略結婚」感想

「狂獅子陛下と猫かぶり姫のなんてすてきな政略結婚」感想/ヴァニラ文庫
藍井恵著

 ギギギぎゃんかわ……可愛すぎて骨が溶けるかと……ぎゃんかわ……
 正直序盤の婚約破棄前の時点でヒロイン人気者って書かれてもそうなん?ってくらいにしか思ってなかった。でも中盤過ぎたくらいで私はずっと心の中でめっちゃうちわ振りまくってた!うちわに「こっち見て!」とか「笑って!」とか書いてあるアレな!
 ヒロインが可愛い!可愛い!可愛すぎて骨が!骨密度無いのに!スミマセンそれは私が運動不足なだけ!ヒロインは悪くないんです!可愛いは正義!
 ファンです!あなたのファンより!ハイテンソンな紫の薔薇の人で済まぬ!
 というくらいにヒロインにハマった。

 藍井先生はコメディというか明るい路線のお話でもヒロインの苦悩をきちんと辛いものと読者に共感させて下さる腕をお持ちながら、それでもやっぱりお話を朗らかなトーンでぶれずに進められるのがすげえ上手いなって毎回思っております。なんというかすごい(語彙)。あとヒロインがねえ猫かぶってるときの言葉遣いがちょっと変えてあるのがまた小技効いてて好き。そこがねえまた可愛いしねえああああ(メロメロやん)。ファンサが行き届き過ぎ!もっと自分の時間も大切にして!陛下といちゃついて!(意味不明)
 そしてヒーローがですねえ。ネタバレしたくないんで伏せ字ますが若干○○なんですよねえ……ここここれはいいギャップ……好き……。そんなんでお似合いの二人で本当に今作も可愛くて素敵なお話でした。ええなんてすてきなロマンス小説。
 話の大筋の方もおうおうなかなかのきな臭さでしかもヒロイン親族まで乱入させますか、てな流れで盛りだくさんでした。面白かったです。あとヒロインがヒーローのことを「猫ちゃん」って言うのもすっごい好きだし周りの反応もすっごい好き。刺繍のシーンも大好き!延々とステッチだけやらされていやんなるのすげえわかりみが深いあれだろピアノでずっとハノンばっか弾かされてるアレでしょハノンに萌えられるの宮川彬良さんくらいよね(宮川彬良さんとハノンのファンに謝れ)。
 でもごめんなさいヒロインが某本を読みながらヒーローとホニャララの場面のとこを三回くらい読み直しました。素晴らしかったですなんてすてきな(以下R18につき伏せ字)。

私がこの国の国民になったら両陛下をうちわ持って出待ちするなって思った一作。「こっち見て!」

「恋人のふりをして」感想

「恋人のふりをして」感想/ハーレクイン・マスターピース
ペニー・ジョーダン著

 すすすすっげえ好きジャンル?セオリー?設定のネタやった。
 駄目男が好きだと思い込んでいたヒロイン、その駄目男がお金に目がくらみ高慢女とくっつきそうになってて、しかしヒロインはそれが我慢できなくてなんとかその駄目男を取り返したい、というか「彼は騙されているだけ、私のところに戻ってくるわ」って信じてる盲目系女子。そしてその高慢女と付き合ってたヒーロー(ここは何故か最後まで分からんかった。ほんと穴があったらそれでいい誰だっていいとか思ってたのか……?)と結託して、ヒーローヒロインも付き合ってることにしてあの二人を焼き餅焼かせてお互い元サヤに戻ろうぜ計画を進めるヒロイン。しかし読者には分かるのです……ヒーローは実はその元カノになんぞ未練はなく実はヒロインのことが好きで付き合ってるフリをしながら近寄る機会を虎視眈々と狙っていることを……。
 ヒロインがくどいくらいに「私は元彼のこの辺が気に食わなかったけど好き」「ヒーローこんなにいい人だったの」「ヒーローは元カノのことそんなに愛してるのね」とを繰り返して読者に印象付けようとしている。特に最後。読む度にふふってなる仕様なんですがこの最後のがくせ者で、ペニー・ジョーダンのヒロインはここを絶対に拗らせて「私と一線を越えたのは元カノの身代わりなのね」って思うのね。むしろそこを読みたくてペニー・ジョーダン集めてるよね。うん。本棚にだんだん溜まっていくけどまだ読んでない本が出されるペニー・ジョーダンすげえ。
 でも今作ヒーローはめっちゃいい人やった。そして策士やった。ペニー・ジョーダンのヒーローはこじらせ過ぎてちょっと訳分からなくなってヒロインに言いがかりつけまくるタイプと、この優しくも腹黒い感じを抱かせる策士タイプに二分されましてね。前者のくっそ面倒くさいのも好きなんですが後者のなかなかにしたたかなヒーローもまた良い。まあでもヒロインに振り回されるんですけどね。そこもいいのよね。

 正直ペニー・ジョーダンをベタ褒めしている感想ってあんまり読んだことないんですけど皆さんそれなりにペニー・ジョーダンの本の感想を言ってはるのでアレだろ。口では文句いいながら皆さん結構好きなんじゃろ?って私は最近ニヤニヤしてる。令和になってもう三年経つのにまだキモい私。

お母さんいい人!ってなってしまった一作。

「ソプデトの涙」感想

「ソプデトの涙」感想/ロマンスヒルズコレクション
夏井由依著

img20210403_20261877.png

 これまでのあらすじ→「セルケトの永遠」を読んだブログ主は作中で最高級あごだしレベルのいい味を出している某登場人物がヒーローになっていると聞いて一気に読みふけったところ……

 ということで「ソプデトの涙」です。うちのATOKさんが有能すぎてソプデトと入力して変換しようとしたら「間違えて入力してるっぽいんで修正しときました」とそれっぽい日本語に変換して下さり辟易したのでメモリに刻んでやりました。むしゃむしゃしてやった。後悔していない。
 結果として「推し王」が増えたなって。夏井先生が書かれた別作品「昏暁」という作品にても若い王様が出まして、これまた彼も青いながらいい味を出しておられ私の推し王なのですが今作のヒーローも私の中で新たな推し王として君臨されました。王が多い。大丈夫か私の脳内統治できんのか。
 いやしかし夏井先生は王を、王を描かれるのが上手い。傲慢で俺様ででもヒロインには超惚れててメロメロな王。冷徹っぽいけど実は民のこととかすげえ考えてるけどやっぱ見た目クールな王。あとなにげに腰に魅力を集積させてはる王。そんなでこれはヒロイン大変やなって思う、と見せかけ!
 ヒロインがまた可憐で健気で可愛くて実はヒーローをちょい振り回し気味っていうね……おいしいあごだしおいしい……。
 そしてやっぱり密がすごい。ヒーローがふっきって二人きりになってからの空気感が密。濃い。緊張感がすごい。ヒリヒリした感じでいつ燃え上がるのかドキドキしながら読んでた。そして相変わらずの美しさと太陽のまぶしさ……エジプト行ったことないしさらにタイムトリップできない体質なので古代エジプトになるとさらに行ってないんですけど視界が美しくクリア。その中で深まっていく主役二人の愛……石油王に気に入られたら映画化するカモン石油王!
 最後のヒーローの回想シーンまで、細部まで絢爛でしっとりした恋物語でした。

 あとこのシーンの空気感が好きで描いてしまった。怒られたら消します。

img20210403_20264855.png

 この直後なのよ本当に観たいのはでもネタバレになるからね!

ヒロインの悲壮をヒーローが激しく優しい感情で包む一作。

「セルケトの永遠」感想

「セルケトの永遠」感想/ロマンスヒルズコレクション
夏井由依著

img20210403_15550428.png

 景色が鮮やかで有彩色のお話をいつも書かれる方だなあと思っておりますが、こちらも美しいです本当に……ため息が出る。シーンひとつひとつが映画観てるみたいに綺麗でああこれは4Kだなと。小説4K。

 ということで古代エジプトのロマンスです。さらっと読める短いお話なんですが密でした。今のご時世いかん!って言われるかもですが密で濃くて、ふつふつと温まっているものがいっきに沸騰する感じ。実験で言うなら沸騰石入れてないやつ。あかん!沸騰石は実験では入れて突沸を防ぐの!
 しかしまあ本当にこうじわじわじわじわと熱があるな〜ってのは分かる内容である時点で一気に噴火する。その噴火のシーン(言い方)がとてつもなくクリアでしかも鮮やか。ヒーローの焦燥がすごいビジュアル美しく表現されててはっきり言って最高でした。あのシーンは最高です。脳内で再生余裕でしかもめっちゃ繰り返し再生した。VHSテープなら確実に見過ぎで摩耗した。命拾いしたなVHS!
 ただ少々ネタバレになるんですが、仕様で(言い方)ヒロインがヒーローのことに気付かず怯えてるさなか、読者はそこそこ明確にヒーローの登場って分かるんですね。だからヒロインより先にどうしても読者がときめいてしまうんです。どうしても。ヒロインに申し訳ない気分になりますが仕様なので諦めて下さい。それにしても痛々しいほどの純愛。相思相愛両片思いで本当にお互いのことを大事に思ってる珠玉の恋愛話でした。ほんっと綺麗で好き。

 某お兄さんがいい味だしてましてあれは多分あごだしだと思うんです。もう一回見たいって思ってましたら続編でヒーローとして出るんだそうです。うは。
 感想続く。

謀策巡るなかであるひとつの秘めた恋実る一作。