「紳士が野獣に変わる時」感想

「紳士が野獣に変わる時 ブルネッティ家の恋模様I」感想/ハーレクインロマンス
タラ・パミー著

 恥ずかしながら一部ロジックが理解できなかった部分もあったんですが(ヒロインが裏切ったか否かという告白の場所)、設定がすごく斬新でいいと思いまして、しかもこの作家さんヒロインもヒーローも言い合いバンバンするのを読んでいるのがすげえ楽しいんで、今作もかなり楽しみました。
 今作にて一番イライラハラハラしていたのは多分ヒーローの兄でしかも読者としてもわかりみが深すぎて兄に同情する。パミー先生はむしろ読者が兄に同情するんも計算の内なのではと考えている。でもってそんな兄のイライラハラハラをよそにヒーローとヒロインはいろいろ仕事しながらも愛を深めていく設定。今作は両主役がプログラマでして。洋画見てるとハッカーが結構スタイリッシュでさあ……いやソードフッシュは微妙なところやけど……いや今はそれはどうでもいいんですけど……今作もまあえっらい格好いいプログラマヒーローが登場してまして。で、その天才的頭脳で構築されたシステムの隙を付いてハッキングしたのがヒロインという設定で。ヒーローはいろいろありつつも裕福な家庭で勉強する機会があってその土台ありの天才プログラマなんですが、ヒロインの方はアングラでやってきた故に(?)野性味ある鬼才プログラマで、正直この設定だけで「よっしゃ来い!」と両腕を広げるレベル。ヒーローとヒロインのイチャイチャも良いのですが、ヒーローがヒロインを一人のプログラマとして才能を認め一緒に仕事している場面とかもすごい好きです。いいねえ。
 ところがヒロインはヒーローと恩人の間で揺れ動くことになって、ヒロインは微妙な立場になりまして。このヒーローとヒロインの話はここでハッピーエンドなんですが、副題で1と付いてるように少々伏線を残したままで2へ続くになっております。次のヒーローは兄の方。この1で解決しなかった事情も興味深くて2が楽しみです。

何を証明したかったのかという自問の一作。
 

「恋愛キャンペーン」感想

「恋愛キャンペーン」感想/ハーレクインセレクト
ペニー・ジョーダン著

 これはまさにヒロインの自立がテーマだな、と思いました。ヒロインは若いうちにヒーローと結婚したんですけど、ヒーローは顔もよければ仕事もできるスパダリで、でもって仕事できるからあちこちひっぱりだこで忙しく、さほど一緒に居られない(割に夜はイチャイチャしてるんですけど)。ヒロインは自分が釣り合わないんじゃないかという不安から「仕事と私どっちが大事なの!?」というお約束のアレをぶっぱなし喧嘩になって出奔しちゃう。こんときのヒロインはまだ甘ちゃんで「ヒーローが迎えに来たら許して上げなくてもよくってよ」とタカを括ってたような部分もあったんですが、諸事情もあってヒーローが放置を決め込んだら「あ、本当に愛されてなかった」と結論付けて別居してたら子供も出来ていたという前置きありで、ヒロインがヒーローに再会するところからスタートの物語です。
 時代が時代だし日本じゃないんでこんな恨み言は筋違いだと思いつつも、「話し合い不足&ヒロインの我が儘アリで勝手にシンママになるも理解あって裕福な実の母がいろいろ面倒も見てくれてさほど辛くない生活を送ってる」というクッソ恵まれてる状況にヒロインへの同情が微塵も生まれない。しかし先日ツイッターにて緒形裕美先生がツイートしておられて「これや!!!」とすげえ納得したのが、私も「ワケ分からん解釈してギャーってなってるヒロインに振り回されるヒーロー」をすごく楽しんでいるということでして。今作もまあそれに当てはまりましてねえ、ヒーローの脳内では多分ヒロインは「かわいさ余って憎さ百倍でもやっぱ愛してる千倍どちくしょう」であって放置できんかったというね……。業が深いなハーレクインは。
 そもそもヒロインは話が始まったときには結構理解が進んでいて、あんときの自分は相当痛かったって自覚はあるんです。でもヒーローを目の前にしたら「キーっ自分を捨てた元旦那!(離婚はしてない)」ってなってて素直にはなってない。そしてそれを楽しむ我々。多分ハーレクインの正しい楽しみ方です。

自立と独りで生きてくってのは違うんだぜという一作。

「花嫁は屋根裏で夢を見る」感想

「花嫁は屋根裏で夢を見る」感想/ハーレクインロマンス
アビー・グリーン著

 前作でえらい意味深に出てきた殿方が案の定ヒーローやって今作にもえらい意味深に出てきたカプがあったら案の定次作の主役達やって、特にシリーズと書いてないんですけど嬉しいご褒美ありがたい。
 しっかしまあ最終的にヒロインとヒーローは結ばれてハッピーエンドにはなるんですけど、今作もセンセーショナルな出だしで、地位の為に名門のお嬢さんと結婚しようと婚約発表しようとしたところにヒロインが「私のお腹にはあなたの子が!」って乱入してきて、正直私はこの婚約披露パーティに出たかったモブとして出たかった。
 この手の話になるとまあわたくしは「お前がしっかりせえ」と詰りたくなるんですね、避妊はね。そしてそこをしっかりしてしまうと一切話が進まないのもこのロマンスの宿命なんですよね。そもそもほのぼのカップルが恋愛を踏まえ幸せな結婚をする話もサイコウだし、一夜の激情(だと思い込もうとして)に駆られた男女が一旦別れるもやっぱ忘れられねええ!って珍騒動を起こす話もサイコウなんですよ。どっちがいいとか答は無いのよ。青と赤のどっちがいい色かって聞くようなもんっすよ。ということで表面上では「いやいやいやヒーローお前がしっかりせえよ」って思うものの、普段冷静なヒーローがヒロインを前にしたら我を忘れてあれよあれよとワケのわからんことを言ったり仕出かしたりする様を見てて内心サムズアップしてるしハーレクインロマンスを定期的に買う。
 最初のすっげえキャッチーな開始から悩める男女がうあーうがーっとあたふたしている楽しい話なんですが、最後にヒーローがヒロインを追いかけてきてすげなくされそうになったときに放ったヒーローの台詞が素晴らしくてふふってなった。いいっすね!好き!!

何度出されてもヒーローがヒロインの髪をまっすぐに整えないで!ってスタイリストに言っておくネタが美味しい一作(ピンポイント)

「愛は悲しみを越えて」感想

「愛は悲しみを越えて」感想/ハーレクインロマンス
ペニー・ジョーダン著

 世間でペニー・ジョーダンをベタ褒め?してる人って見たことないんですけど、自分も大好きですけど手放しで100%褒めてないし。でもペニー・ジョーダン大好きなんですが。公式さんでこうして伝説の名作選とか、サイトでもカテゴリであるし昔の作品もバンバンリプリントされてて、ペニー・ジョーダン先生の作品て誰も褒めてないけど人気あるよね?てかもしかして私が再三ペニー・ジョーダン好き!って言ってるから公式さんが気を遣ってリプリント出して下さってるのかしら。申し訳無いです私のために。

 ということでペニー・ジョーダンなんですが、今作はなかなか辛い話でしたね。てかペニー・ジョーダン先生は時々この話題を用いますよね。男女の憎愛を描くにあたり避けて通ることのできない話題ではあるんですが、やっぱり辛い。
 ヒロインがねえ事実に加え好きな人にそれを目撃され蔑みの目で見られて(ここは誤解だったんだけど)ってなりゃあそれはもうえっらいトラウマになりまっせこれは。しかもヒロインをさらに襲う悲劇でさあ……。読んでてごっさ辛い話だった。しかし面白い。辛い話なんですがあり得ない話でなくてさあ、これがまたイヤな世の中だぜって思うんですけど、でも最終的にヒロインが癒やされてヒーローと結ばれるの、現実はここまで甘くないかも知れないし、てかそれこそ人に因るとも思うんですけど、でもハッピーエンドはいいです。こういうネタを扱っている話なら尚更。

内に貯めないのが吉である一作。

「静寂のララバイ」感想

「静寂のララバイ」感想/MIRA文庫
リンダ・ハワード、リンダ・ジョーンズ著

 話としては面白いんだけどロマンスとしては弱いというか、なんというか二見書房さんで出してた初期の頃のヒーローとヒロインの癖の強さ全然無いな……と残念に思う。
 なんか前も言ったような気がするんですが、これダブルリンダという名義で無かったら単純にいいね、って思えてそう。しかしなまじ「二度殺せるなら」「青い瞳の狼」「パーティ・ガール」のリンダを読んじゃってるんで、その味を知りつつこれと読むと「もっとこう出せるだろ貴方なら!」と思ってしまうのよ。
 もう一回言いますが話の大筋はすげえ面白かった。人の関係性の変化とか相当にシビアな部分もあるんだけど、でもユーモアも忘れなくて、でもやっぱりシビアなところはあってもでも最終的には人間強いってさあ、すごいいい話だったんよ。でも主役二人がなあ……。なんというか「リンダにしては」没個性なのよね……切ない。
 しかしまあサバイバラー?なお話だった。いざってときにすげえ役立ちそうだし、そしてそんないざってこと起きて欲しく無い!とも思えるリアルさ。こういう場面になったら私なら何ができるだろうなあ、と真面目に考えてました。野菜育てよう頑張って。しかしもっと昔だったら別に大した被害にならなかったのに、現代だから、電気のある生活に慣れた今だからこんなに悲惨になるってなんというか皮肉なんだけどこういう皮肉っぽい作品って本当に面白いよね。

適材適所の一作。

「億万長者の新妻の秘密」感想

「億万長者の新妻の秘密」感想/ハーレクインロマンス
アビー・グリーン著

 なんかすっごい込み入った話だった!情報量が多い!でも面白かった!
 盛大にネタバレ込みで書きますが、ヒロインとヒーローはお互い好き合って(でも微妙に意思疎通できてなかった=お約束)結婚する気満々だったんですが、ヒロインの叔父が悪い人でヒロインを別の、もっとお金持ってる人間に嫁がせたいから二人を誘拐してヒーローを痛めつけて、このままだとヒーロー死ぬよ?って姪であるヒロインを脅して別れさせて、ヒロインは叔父の言われるがままの男性と結婚して〜という背景がある作品でして。
 ヒーロー側からしたら誘拐を企てた本人がヒロインの叔父と知らないんで、いきなり誘拐され解放されたらヒロインが別れたい、しかもお前のこと本当は好きじゃなかったねん的なことをあっけらかんと言いやがって恨み骨髄。ヒロイン側は脅された上に黒幕が叔父なんでバレてもヒーローに嫌われるしもう四面楚歌!イヤ!どう転んでも辛い!という状況。
 こんなんででもヒーローが便宜上奥さんが必要なんでヒロイン君が僕の奥さんになるんだー!ってやや脅しながら結婚に至る。それなりに突拍子もない感がある設定かも知れませんが、私的には「めっちゃ面白いやん……!!!」と感動して読んでた。設定込み入ってて(感じ方に個人差があります)どっちに転んでもヒロインが辛い!というこの状況、どう最後にどんでん返しくるか!てなところが見所だと思うんですよ。
 ヒロインもねえ自分のせいでヒーローが非道な目にあったって負い目はあるしヒーローにどう思われようとまだヒーローのこと愛しているし、でもそれ信じてもらえないし、しかも何故別れを選んだかを知られたらさらに軽蔑されるし、てなもんで、一緒にいても辛いだけで、まあいい具合にツンを見せてくれるのよ。なんですかねこのいいツンは。ロマンス小説ヒロインのツンを松竹梅でランク付けるなら今作は間違いなく「松」のツンですよ。
 そんなんでまあ過去にヒーローを誘拐した黒幕も最終的にはヒーローにバレてしまうんですが、それ以降はネタバレしまい。個人的にはすげえ好きな結びでした。ええハッピーエンドなんですけど、その過程もいいんですよねアビー・グリーン先生の作品は。

 すっげえどうでもいいネタなんですけど、富豪の自家用車の専属のドライバーを私がしていたとして、後部座席に雇い主の富豪とその恋人らしい男女が乗って、途中で後部座席にシールドを付けられたときに平常心で運転できる自信がない。全く無い。

どういう対処をしていたらヒーローヒロインが全く不幸にならずに一緒になれていたのか解決策が私には見つけられない一作。

「蒼玉のセイレーン」感想

「蒼玉のセイレーン」感想/MIRA文庫
イローナ・アンドルーズ著

 やっぱり面白い。もう最初からねえ読者の心掴むのが達者ですわ。
 シーズン2に入りましてヒロインが次女に変更になったんです。設定上仕方無いとは思うんですけど、ヒロインの性格、というか仕事への対応が前シリーズの姉みたいになってて、なんかこう個性が若干消えた感あるよなあ〜と重箱の隅を突くような感想も持ってしまった。いや仕方無いっしょどう考えてもさあ、そうしないと探偵として成り立たないんだからさあ、とオノレに突っ込みを入れつつ読んでたんですが、なんというかやっぱり面白い。
 いや仕事への向き合い方こそ同じなんですが心情は次女であるヒロインの個性が出てまして、ヒーローのことめっちゃ突っぱねてるんですがその突き放し方が、なぜそうなるのか読者は分かっている設定なんでもうねえ……なにこの可愛いツンデレ……最高じゃないっすかねえ……ここが前シリーズのヒロインとガッツリ個性出してていいんですよねえ。後にヒロインの祖母からもあなたたち三姉妹はこう、と言われてるんですがその説明がまた上手いなあ!と。
 ヒロインの能力は姉と少し似てて違う部分もあるんですが、なるほど吐かせる系の能力としてはこちらもアリだな、とこれまた感心してました。いいですねえ。長女が力業でこちらもめっちゃ格好良くて痺れるんですが、次女のもこれまた呻るほどに上手い。ネタとして「愛してるから言えない〜」と言う感じのアレなものも見てみたい気もする。なんかアンドルーズ先生はやってくれそうな気がする。

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 そしてヒーローなんですがねえ、なんすかこのハーレクインロマンスに出てきそうなイタリア人貴族は!!!???(ハーレクインロマンスです)
 日本にまだ忍者いるでしょ?くらいのノリでイタリア貴族書いてない?書いてない?書いてるよね?ウェルカムです!!!むしろ眼鏡のヒョロっとしたイタリア人貴族とか必要ないしなんならハーレクインロマンスも忍者ヒーロー出してくれて全然構わないくらい!
 いや全人類が待ってたこのイタリア人ヒーロー。インスタやってんじゃねえよ(うそですどんどん出して下さい)当然の様に旅先でオーダーメイドのスーツ用意してんじゃねえよ(さすが!)飯を作るのがうまい女性にいきなり求婚してんじゃねえよ(サイコウ!!!!!)
 いや正直前シリーズの最後でちょこっと出たときガチで坊ちゃんなんだろ?くらいにしか思って無かったしインスタフォローしたのもネタくらいに思ってたんですがねえ今作さあ何ヒロインをご飯に誘って警察呼ばれてるのねえすごい好き……めっちゃ笑った好き。こういうとこやぞ。

 てなもんで今作は設定が設定なんでヒロインとヒーローはなんかこういい雰囲気作りで終わるんじゃろ?とか思ってたんですが、なんか待ってあの場面は待って萌え尊くて死にそうなくらい萌えあのシーン素晴らしい読み返し過ぎてページもういっぱつで開くんです型がついてしまってうわあ栞?挟んだよ!
 しかしヨッシャああああああ!とガッツポーズしてたのも一瞬でしたね。ラストねえ……おおおお話盛り上げるの上手いですよね(泣きながら)。そそそそそそう来るかそう来るのか……と悶えつつ続く!となってしまって次巻出るまでもううぎゃ〜と待つしかないんで結局別のロマンス小説に手を出さざるを得ないんですよ!商売上手だな!ありがとうございます!

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ヒロインが自分に厳しい一作。おおおおおもう少し甘えさせてあげたい……。