「ハイランドの戦士に愛の微笑みを」感想

「ハイランドの戦士に愛の微笑みを/ハイランド・ガード1」感想/ベルベット文庫
モニカ・マッカーティ著

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 描き上げた時点で諸姉のみなさまに「ハイランダーはこちらでよろしかったでしょうか」とお伺いしたいがどうでっしゃろ。

 しょっぱなから弟が恋に溺れ一族を若干の危機に陥れたのもあって「俺はああはならん(=盛大な恋に落ちます!!!!!)」というでっかいフラグを丁寧におったてて下さった我らがヒーローなんですが、なんというか全体のもう3分の1くらいの時点でヒーローはヒロインにメロメロでしたね。
 個人的にこういう義務優先!一族優先!俺の事情は二の次!て自分にキビシイ殿方がだいすっきなので、そりゃあもうワクワクさんで読んでたさあ。ゴロリも登場しそうな勢いだったさあ。そしてアレですね。体格差カプですね。一族の長でバリッバリの戦士のヒーローと、ちみっちゃいのに色気ムンムンの小娘ヒロイン……なにこれヤヴァイ。しょっぱなのヒーローと今後のヒーロー候補戦士と戦ってる時に思わず声を上げてしまうヒロイン……姉のために自分を犠牲にしてしまうヒロイン……そして何より!寝ぼけたヒーローに背中から羽交い締めにされ「この体制だったらまだ慌てる時間じゃない(両手を振りながら)」と余裕ぶっこいちゃったヒロイン……あーっ小娘カワイイんだけどあーっあーっ最後のはあーっあーっあーっ!だからあれほど馬の交尾を観察しておきなさいと!言ったのに!(心の中で)
 ということで案の定アッサリヒーローに致されてしまったヒロイン。物語として面白いというかニヤリとしつつも、やはりヒロイン父を思うとどうしても嫌悪感も拭えず、むしろあの後背位エピがあったからこそヒロイン父の愚行の気持ち悪さも緩和されたというか。加え、のちにカタルシスも用意されていて、この辺の塩梅?割合というか組み方、見せ方がうまいな!と唸ったもんです。
 で、すったもんだの末にヒロインはヒーローの元に嫁ぐことになって。ヒーローがだんだん陥落していく様が!あああ尊い!でもやっぱりそんなアッサリヒーローも心を許したりせず、この辺の二歩下がって四歩くらい進んでまた一歩下がって今度は五歩!みたいな。緩急もうまい。面白かった。
 話の流れ上、ヒロインにはどうしても動いてもらわねばならんのも理解しつつ、でもそんな危ない橋何度も渡らないで!とも言いたく。この辺もヒロインの世間知らずぶりとかのバックグラウンドも機能してて、嫌悪感までいかないギリギリのラインではあるとは思ったけれど、でもやっぱりヒロイン……とは何度か思ってしまった。もちろん言葉足らずのヒーローも悪いんだけど。ただヒーローの過去の方がなんかこう重くて、こうなったのも仕方ないよなあ〜とどちらかといえばヒーローに肩入れしちゃいました。そもそもロマンスで、話の中盤でサプライズかましてうまくいく確率はほぼゼロだからね!ここ試験に出るからね!
 しかしまあ右を見ても左を見てもムキムキキングしか出ない小説やったわ。各種雄っぱいおっぱいそろっており最高です。

能ある鷹は爪を隠すってほんと深いな……って考えさせられた一作。

「独裁者に誘惑された夜」感想

「独裁者に誘惑された夜」感想/ハーレクインセレクト
アビー・グリーン著

運転手「つらい」

 シークレットベビーものですね。いろいろあって、全てのゴタゴタから解放されてヒャッハーな状態になってたヒロインが、まさにその日にヒーローに出会ってワンナイトラブかましたら、それが父の仇ィ〜兼ヒーローが認知関連の裁判で徹底的に相手やりこめたニュース見ちゃった!というダブルパンチでヒロインが逃げたら子供できてた!という流れ。子供ができて知らせるべきとは思いつつも、その裁判のことがあったんで、ヒロインが現状のまま訴えてもいろいろと負けてしまう!と危惧したため、もっとこう自立してから教えようと思い黙ってた。しかし偶然再開したら思った以上にヒーローがぐいぐい来たんで子供もバレてしいましたがな、という序盤。お、なんとなくリアル?というか珍しい?って思ったのが、ヒロインが育てていた赤子が自分の子供だと知り、黙ってたんか!とヒーローがブチ切れるも、ヒロインを怒鳴ったりはせず一旦外に出てなんとか冷静になろうとした場面すね。これは非常に好感を持ちましたよ!
 あと、ヒーローはヒロインがコンプレックスでもあるくるっくるの癖っ毛が大好きらしく、ストレートにしてたらなんか不機嫌だし、その後スタイリストに「絶対ストレートにしないで!」ってわざわざ言ってたシーンが好き。こういう、ヒロインがコンプレックスに思ってたり、もしくは全然意識してないからだの特徴に、ヒーローが異様に執着して「好きぃぃぃぃぃ!」てなってる設定、すんごい萌えますよね……。

ヒロイン好き過ぎてヒーローが確実にこじらせてる一作。

「秘密の情熱」感想

「秘密の情熱」感想/ハーレクインセレクト
ペニー・ジョーダン著

 今まで読んだロマンスの中でも1、2を争うレベルのいや〜なキューピッドが出た。
 ヒロインが若いおりに両親が亡くなり、物語の始まるちょっと前に親族の一人が亡くなり、その人が所有していた不動産を遺産で継いだものの、そこにへんくつな老人が住んでて、あがががががめんどくせえ〜ってヒロインがかなり凹んでるときに、そのへんくつ老人の甥っ子であるヒーローにいちゃもん付けられて、ヒロインがかっとなって最終的に惚れるストーリーです。へんくつ老人のおかげで、両主役が互いの印象マイナス〜からスタートという、ペニー・ジョーダン大得意=私の大好物設定、今回も本当にありがとうございます。
 ヒーローは最初こそ、おじの言葉を信じてヒロインに悪い印象しか持ってなかったんでツンツンしてましたが、なかなか早くにデレてました。こちらの作者のヒーローにしてはかなり紳士な方。名前登場の時点からオチが読めるヒーローの「恋人」に翻弄されるヒロイン。ゆる〜く足を引っ張るヒロインの友人、そして当て馬かと思わせておいてものすごいモブで終えたヒロインの知人(男)。ペニー・ジョーダンの得意分野を走りながらも変化球も忘れないよきロマンスでありました。
 さっきも言いましたが、ヒーローがなかなかの紳士だったんで、その分ヒロインがどったんばったんしてくれてて面白かったです。早合点してヒーローを責めに行って、そこでお約束のように気絶してヒーローとの距離も物理的にも精神的にも縮めてくれたり、別場面ではヒーローの登場に焦って、首にかけた家の鍵のチェーンブチ切って、鍵をブラん中に落としてアワワワとなってたり。私は通常ではありえねえ〜ってなっても、物語の中では「ノックもそこそこに部屋の戸を開けたら半裸もしくは全裸の想い人がはっとして立ってた」とか「ひょんなことから他人の二人が一緒に暮らして風呂場でばったり」とかシーンが好き過ぎてご飯を何杯でも食べられるタイプなので、正直ヒロインがブラの中に鍵落としたシーンでは「ナイス鍵!」と叫びましたね。鍵いい仕事したね。近年稀に見るいい仕事でしたね。過去50年の中で最高の出来でしたね。そろそろボジョレー解禁ですね。

相続は慎重に、な一作。
いや慎重にして継がなかったらこれ話進まないんだけど。
そもそもイギリスの法律わからない。

「愛の選択」感想

「愛の選択」感想/MIRA文庫
ペニー・ジョーダン著

 フィクション小説の素晴らしいところは、現実では100%アウトなネタでも「おはなし」であればがぜんハイテンションで楽しめるところだと思うんすよ。楽しんで読んでおりますが、それは決して現実でこういうこと起こってもそれを推奨してるとか、自分もやってみたいとか、登場人物に成り代わりたいとか、そういうことじゃない。読んで楽しんですかっとしたいわけですよこちらは。それがどういうジャンルの話でもよいじゃないですか。

 てはもんで、この作品も確実にヒーローが「アカーン!」というやつで、それがまあ面白かったもんで、読者がヒロインに謝りたくなる衝動に駆られる代表みたいな作品でした。「ごめん君らが悩んでる過程が面白い」と言ってしまう、勝手に土下座読者ジャンルとカテゴライズしておりますが。行動だけだったら無情極まりないんですけど、そこに巧みに心理描写を、本当にヒロインの内心をがっつり書いていたり、ヒーローのちょっとした行動だったりで繊細にかつ深く描いてあるから、なかなかの愚かな行動かましてても「あああああもう仕方ないなあ!」とか思えてしまう不思議。さすが。
 今作はざっくり二部構成みたいになってまして、ヒーローとヒロインの、息を潜めてしまうような綱渡りみたいな心理戦ぽいの同棲?生活の前編と、若干ドタバタも入ってるぽい再会からの燃え上がる逢瀬な後編。なんだかんだと、やっぱりペニー・ジョーダンは、私は、主役二人が暮らしながらあーだこーだと悩みまくる部分が好きなんで、後半も面白いとは思うけど、前半と終盤の緊張感がやっぱ最高に好きです。
 いやーでもなんというか、話が盛り上がってきたころの、ちょっと二人が離れてたとき、帰宅したヒーローがデレて「寂しかた〜?」的にヒロインに接したら、まだヒロインがそこまで自分の気持ちに正直になれなくて(きっかけを思うとむしろヒロインの行動の方があたりまえなんですけど)、ものっそい塩対応だったので、ヒーローが拗ねたシーンに爆笑してしまった。
 でもってわたし的最高に盛り上がったのは、やっぱり両主役がヒロイン父と対面したシーンですかね。あーでも終盤のヒーローの城(城!!!)で二人が再会してからの展開も好き……。

 よくよく考えりゃわたし「惹かれあってるのに好きな相手は父の仇で……」みたいな話大好物だったわ。まさにコレ。

復讐は全てを捨てる覚悟があるもののみ行うべしな一作。

「悪魔に捧げた純愛」感想

「悪魔に捧げた純愛」感想/ハーレクインロマンス
ジュリア・ジェイムズ著

 今回は脱線気味の話から始めるのですが。
 新美南吉先生の「手袋を買いに」ってお話がありますよね。しもやけになった子狐が、お母さん狐に片手だけ子供の手に変えてもらって、人間のお店に手袋を買いに行くお話。好きな話なんですけど、私がだいぶ大人になってから、その話を読んだ対象世代の小学生の感想がいっとき話題になりまして。
「なぜ、お母さん狐は小狐の両方の手を変化させなかったのか」
 いやーいやーあのねいやーあのねうん、わかるよ、気持ちはわかる、そういうのも分かる。
 これはネットでもよく言われてるSFが衰退していった話とか、ナーロッパとか、広くはその辺も巻き込むネタだと思ってる。いやうん、わかるのよ。個人それぞれにこだわりとか思いとかあってさ。なんでそこそうすんの?って言いたくなる時もあるよね。そこが面白い所だとしても、いやそこなんでそうなの整合性なくね?ってつっこみたいときあるよね、わかるよ?
 でもさあああああああ〜という。

 で、今作の話なんですが。ヒーローが子供の時両親にほっとんど愛情かけられなかったんで、自分は同じことをしたくないってのが深層にあってさ、子供がどうしても欲しくないってずっと思ってて。そんなんで女性とか体を繋いでも心はアッサリな関係ばっかで。そんなおりにヒロインに出会うんですよ。のめり込んで、でも結婚はしたくない、子供なんて言語道断て、思ってるその、まさにその最中に!ヒロイン妊娠したかも?って相談されてですね!ヒーローが俺をはめたのか!ってキレる場面がありましてね。
 イヤイヤイヤ。キレたいのは読者ですがな。なんでヒロインにだけピル飲ませて自分生でやってん。そこまで子供欲しくないんならてめえも対処せえよスキン付けろよなんで生でやってん。あれか?ゴムのアレルギーか?だったらパイプカットせえ。ハア?それもいやなの?じゃあせめてヒロインに対してきちんとお薬飲めてる?とか体調どお?とか聞けよ。なんでヒロインが「あの時ちょっと時差でぼんやりしてたかも」って言ったら嫌味言うん?お前何様?体調気遣うことなくなにおしたおしてん?
 とまあブチ切れてたわけですが。で、ここでじゃあヒーローが完璧に対処してヒロインの妊娠の兆し全く無っしんグ!とかなったとしますと、話が進まんのですよこれが。全く話が進まんのですよこれが。

 ということで。いろいろ読んでて思うところもあるわけですが、こう必要悪?とまで言うと言い過ぎな感も否めませんが。盛り上げるためには多少の上げ下げも必要だよね、と今作を読んでしみじみと思ったわけです。そもそも今作のヒーローの、あのアホな嫌味が後になって非常にいい味を出してましてね。ついで言うと、その私がブチ切れたヒーローの行動も、ある人にとってはスルー可能というか気にならん事案ということもありえるわけでして。この辺は好みもあるんで、難しいですよね。
 しかも全体を通してこちらの話、さっきも言いましたがそのヒーローの行動がきちんと生きて上手い具合に進んでいるし因果応報な部分もすげえあったんで、全体としては完全に有りだと思うし面白かった。
 なげえ感想になりましたが海外ロマンスよきですよ。ツッコミ必至な時もありますが、その辺は文化も違うし、ゆるく「そういうこともあるんだ」くらいの認識で。

心の成長の一作。

「ナニーに天使の微笑みを」感想

「ナニーに天使の微笑みを/ホワイト・イブの奇跡」感想/ハーレクイン
リアン・バンクス著

 まごう事なき三部作の一作目ですね!ぐぎぎぎぎぎヒロイン妹とヒロイン兄の話も気になりすぎる!特に妹!どうなんのよ!
 日本という国で、皇族=神の扱いが過去にあったこの日本で、もう皇族つったら品行方正で間違った事なんてしなくて良き母良き父良き子供で……とか、もうアレよ悪い意味でも人間だと認識してんくて、でもおそらく日本人のほとんどはそう思ってて、小説読んでても、王族でたらもう=日本の皇族に対する、駄目な期待感?プレッシャーを与える期待感?を抱くんですよ、少なくとも私は。いや彼らだって普通の人間で、間違いもするし、感情もあるし、怒る事だってあるんですが、なんかこう「いやいやいやでも皇族だし?」みたいなフィルターをかけてしまう。よくないと思いつつ、やっぱ期待してしまう。ダメループ。
 そんなんで、こういう小説読んじゃうと「この王家大丈夫なのか……?」と心配というか不信感?みたいなの持ってしまう。しかしさっきも言いましたがおんなじ人間なんで、こういう普通のロマンスがあってしかるべきで、個人的にはこういうの読んで読んで読みまくって、現実の皇族にもそういう必要ないプレッシャーをかけないでいきたいとは思っている。
 で、話はというと、さすがリアン・バンクス。期待してたけど面白かった。いややっぱこういう人間くさい王族、読むべきよ。てか人間だもの。ファンタジーだろありえん!とか言われても、だがそれがいい!とか、そのくらいフランクでいいものよ、とか思えたらいいなと思う。そんな感じで読んでましたが、楽しかった。ヒーローの子供がものすごいいい味というかアクセントというか、うまく絡めてあって素晴らしい。ラストのシーンとかこれまでの流れから考えても美しい!とため息が出た。いい話だった。そして妹と兄よ……気になる。

人との関わりっていいなという一作。

「伯爵と雪の華」感想

「伯爵と雪の華/ホワイト・イブの奇跡」感想/ハーレクイン
ルイーズ・アレン著

 ヒロインの過去設定が凝ってて上手いと思ったのと、その設定で後半からのこじれ具合が非常によき!と思いました。わりとしつこく言っておりますがイギリスリージェンシーものがなんとなく苦手というか、いまいち入り込めないのが多いって感じながらも読んだら「面白いな!」て思うんで、これはアレだ、妙な苦手意識を何かしらで持ってしまったらしいんですが、そのきっかけがなんか思い出せない。それはともかく、実は大金持ち、しかも継いだとかでなく完全自力で儲けたヒロインが、ヒロインのお金目当てに男どもがやってくるのが鬱陶しくて、出会ったヒーローにはそんなにお金持ってない未亡人の態を突き通してたら最後は……という設定のお話でした。ヒロインの生い立ちというか今に至るまでの生きてきた様がなかなかにシビア。そりゃあ殿方に対してちょっと色眼鏡もかけてしまうわな、てなもんです。そのあたりの感情の持っていきかたがすごい良かったです。短めの話でしたがなんかドラマチックでダイナミックだった。

切り札は最後まで出さないのがセオリーな一作。