「謎めいた夜は公爵と探偵を」感想

「謎めいた夜は公爵と探偵を」感想/ベルベット文庫ヒストリカル
ケリー・ボウエン著

 初めに言っておくと私はヒストリカルがそんなに好きじゃない。特にイギリス、リージェンシーものが好きじゃない。デボラ・シモンズもクリスティーナ・ドットもエリザベス・ホイトもケリガン・バーンもローズマリー・ロジャーズも大好きだけどあの英国リージェンシー辺りのヒストリカル好きじゃない(意味不明)。
 そんな私が言う。この「チェガーレ・アンド・アソシエイツ」シリーズ、めっちゃ面白い。
 語彙?死んだ!はい死んだよ語彙死んだよ!
 面白かったです!!!!!

 深呼吸。
 ツイッターのTLで「帯」「帯www」「帯がすごい」と話題になってたんで本屋に行き私ももれなく「帯やな」って思った本だったんですけど。すげえっすわ。このダイレクトでインパクトある帯に内容全然負けてない。もうね、最初読み始めからぐいぐいくるね。容赦ねえ!ちょwwwページめくる手www止まらんwwwというツイッターの例の様式美かよ!てくらいぐいぐいくる。ミステリ入ってて謎解きも面白いし、ロマンスもいいし、何よりヒロインの有能さがたまらん!爽快感ぱねえ!ヒーローがちょっと霞む!でもこのヒロインに対しちょっとしか霞んでないヒーローむしろすごい!てかその霞み加減の塩梅がうま過ぎる!生理食塩水か!またも意味不明!!!!!
 いやすごいっすよ。伏線のうえに重ねられる伏線。そしてそれに上手く絡み合うロマンス。適度にヒロインの足を引っ張りつつ素晴らしく有能なバディであったヒーロー。ウイットに富んだ会話。魅力的な脇役たち。ええ、次回次次回の主役ですよねわかります!(次回作はよ!)4作目ヒーローは彼だろ!絶対に彼だろ!彼だと言って!!!!!!!あと妹もいつかヒロインになって!お願い!あと3作目のヒーローは彼らしいので、今作ヒーローの立場入れ替わってたしなめてやれ!3倍返しだ!
 最初に言った通りこの時代にほっとんど興味無くて、実際この時代にこういう職業とかあったのかどうか知らないんですけど、あっても無くてもこの話は素晴らしい。非常に良い!上手い。そしてもうたたみかけるような話の展開なのに決して浅くなくて良い!というかひとつひとつが練ってて意味があってすごい!語彙!無い!
 いや世のなかにはまだたくさん面白い小説がいっぱいあるね!でも私は英国リージェンシーもの好きじゃない。ツンデレか。きめえ。

存在意義を探る一作。

「夜の果てにこの愛を」感想

「夜の果てにこの愛を」感想/二見文庫
レスリー・テントラー著

 帯に「リンダ・ハワード好きならぜひ読んで」って書いてあったのと訳が石原未奈子さんなので入手しました。ちょっぴり騙された感。何故なら、リンダ・ハワードのロマサスみたいにヒーローが現役刑事だったり元軍人だったりFBIだったりカウボーイだったりスナイパーだったり

しない!!!!!!

めっちゃ一般人!上流階級!テラ普通の人!!!!!
いいかみんな!聞いてくれ!ロマサスって分かってるのにヒーローが一般人だったときの読んでる最中の恐怖感は五割増しだ!いざという時に確実にヒーローは役に立たない!(多分)むしろカンだけはいいからヒロインがピンチの時はああそうさ!確実にやってきてくれるさ!

だがそれだけだ!(暴言)

 ということでこれまためっちゃくちゃいい人ヒーローが謎のヒロインと出会って恋に落ちてトラブルに巻き込まれる話なんですが。
 ヒロイン、ヒロイン!ヒロインがなあああ~いや冷静に考えたら、そうせざるを得なかったのわからなくもないしばらく安全やったとしても出た瞬間に死ぬ!でもさあああ身分手に入れてとかそこまで頑張ったわりになんなこう!なんなこうさ!もうちょっとこうさ!いやわからくもない!物語的にはハラハラしてすげえ緊張感あった!そういう意味では面白い!でもなああああヒロイン!ヒロインがなあああ!でも個人の感想なんで!その辺りにこだわらない人ならむしろぐいぐいいける面白さだとは思う!しかし私はどうしても某所のヒロインの行動にあばばばばばとなってしまい完全に入れんかった!惜しい!
 物語的にはすげえ面白かったです。そんなんでヒロインのアレだけがどうにも受け入れられず、逆に受け入れろよ自分!とか思ってしまう。

「さがしものは慎重に、さもないと……?」という一文が冴えてる一作。

「朝まではこのままで」感想

「朝まではこのままで」感想/二見書房
シャノン・マッケナ著

 8作目になりヒーローの特異性がインフレしつつありますので、1作目のヒーローがめっちゃ普通ですやん!となってきた。そして安定の練られたロマサス。読む前は「いやああああこわいいいいい」ってなるのに読み終わったら「次回作はよ!」と興奮しているのも常。
 個人的に、サスペンス部分の恐ろしさは5作目が最高潮だったのか、あれ以来ページめくるの怖すぎってことはさほどなくなったけど怖かった。プロローグから怖い。いつもだけど怖い。読者の不安をあおるのうますぎ。あと最初の恐怖すら伏線に使いよる構成がもう神かと。毎回言っておりますが神かと。
 今作のヒーローは、前回作にてマクラウド兄弟を失意のどん底に陥れたにも関わらず本人は「そのくらいの作業でおんなのこのテンション上がってくれたらめっちゃコスパよくね?(超訳)」とだめ押しをかましてくれた根っからのおんなのこ大好き君なのです。前回にも過去がちらっと出てきてましたが、今作にはそれがさらに深く掘り下げられて帰ってきてます。そしてヒロインの状況と重なって進んでいくサスペンスとロマンス……おもしろい……ページめくる手が止まらん……こうね、そういうの現代の科学でまあできるって部分とここから先は完全創作ですよ、って部分の組み合わせというか混ぜ具合がほんとうに上手い。ある程度の創作は必要で、メイン設定の部分が少々荒唐無稽に思えるものだとしても、普段というか地の部分でしっかり現実のものの描写ができていれば、メインも受け入れられ生かされる感じがします。私は、土台設定で微妙な間違いがあったらちと萎えるタイプ。身内に同じ質問をしてみたら話が面白かったらそこは気にしないとも言い、それは確かにとも思う。確かに、よくネットで言われるジャガイモ問題とか、私はそもそも詳しくないのでジャガイモ存在しない時代にキャラがジャガイモ食べてても全然気にはならないけど、電子顕微鏡をポンポン屋外に持ち出され(そして使われない)たらめっちゃ気になる。つうことで、個人の知識差もあるし、全員納得させる話なんて作れない。それでも作者には読者をどこまで上手く「乗せられる」かという力量も必要だと思ってて、シャノン・マッケナさんはそういういい意味でのハッタリもめっちゃ上手いな、と思ってます。

 今回特記
・セス……名前だけ!でも名前だけでも……登場した!!!
・「バーボンにする?」←最高。笑ってないのもミソ。
・ヴァルの相変わらずの圧倒的イケメン感。でもよっわ!
・わかるロシアとウクライナとベラルーシの女子は妖精
・フォースと共にあらんことを←ネタバレ

夢でうなされてる屈強な男子に近寄るべからずという一作。
てか次回!もう買ってるけど遠い!最終巻出たらもう全部まとめて買う!!!!!

「営繕かるかや怪異譚」感想

「営繕かるかや怪異譚」感想/角川文庫
小野不由美著

 もうなんというか今更再認識するまでもないっつーかテストに毎回出てるつーか全世界既知というかなんですけど小野不由美のホラーは怖い。しかもものすごいこのそこはかとなく漂う怖さ?がすごい。動揺してすごい言い過ぎ。ぎいえああああああムリムリムリ!という怖さではないんだけど、ひゅっと怖さが通り抜ける感じがもうなんというか絶妙過ぎて、むしろ作者が普段どういう生活してんの?って観察したくなるレベル。どういうごはん食べてたらこういう腹八分目くらいの恐怖が描けるようになるん?不思議。

 そんなんでホラーなんですけど、ブログの分類作成で失敗かましたのでホラーに追加できないんでミステリーに入れてしまってるんですけどホラーです。さっきも言ったけどこのじわじわと、気付いたらそこにおったねん恐怖が!的な話の進め方がすごすぎて怖い。あ、話ね。そして短編集というか、小話がいくつか収められた本で、毎回主役は違うんですけど、題名にもなってる営繕屋さんが毎回出てくる仕組み。三話目くらいから、早い人だと多分二話目から、この人が出て来てくれたらもうホッとするのよ。そんだけ怖い。前置き怖い。そして最高に面白い。いやこの面白いって今更言う?手垢ついてるっぽいのに?もっとこの作品のすごさ、素晴らしさをテメエのありったけの語彙で表現してみ?って言われそうだけど、申し訳ない最高におもしろいとしか言えん。だってネタバレになるじゃん!(言い訳) あとここで吐いちゃうけど四話目の怖さはガチ。最高潮って感じのヤバさ。
 著者のホラーって、幽霊怖いの奥に本当に怖いんは生きてる人間やで?ってのをガッと出してきてあばばばばばばってなることも多いんですけど、そのカタルシスとしてきちんと「いろんな人間おるけど、人間まんざらでもないで」って魅せてくれるところが最高に好き。

 ここで言う?って言われそうだけど、秋の十二国新作もお待ちしております!!!!!

共に暮らしていく一作。

「残り香の誘惑」感想

「残り香の誘惑」感想/ハーレクインプレゼンツ作家シリーズ
ペニー・ジョーダン著

 ラブロマンスの醍醐味ってんで、ひとつにいろいろ条件とか重なって心のすれ違いでこじれるのもあると思うんですよ。今作はヒロインのいとこ、しかも諸事情で長年交流が無かったんで彼の邪悪さがわからなかったヒロインがちょといいように扱われれ、ヒーローがヒロインの性根を誤解して進むってやつです。美味しいです。アタイは!こういう!心根の清いヒロインが!状況とか悪意とかによって!ヒーローに悪いように!勘違いされてる!始まりのロマンスが!だいすっき!!!!!毎回言ってる!!!!!!!!!

 てなもんで、伝統と格式を絶対に残したい廉価版絶許ウーマンなヒロインと、貧富の差悩まず全ての人にいいものを体感してもらいたいマンなヒーローが対決するところから開始される。二人はその辺全然譲らない姿勢なんだけど、ヒロインの金困いとこが「そんなんはどっちでもいいからとりあえず金くれや」マンで二人に「お互い歩み寄ってる感じよ」って嘘吹き込んで、主役二人は「まーこっちの言うこと呑んでくれるなら」ってんでその辺話し合わずに会っちゃうのがミソ。二人とも惹かれ合ってるから、仕事の話していがみ合いたくない。しかももう譲ってくれてる(と思い込んでる)んだし。そういうフィルター無くなったら素直な二人はガンガン惹かれあってしまってラブラブモードに。この辺の構成とかほんっと好き。上手い。
 あと現代物ラブロマンスでは主役二人の職業とかも重要なキモになる場合も多いんですけど、そこも物語に添える色としてうまく使われているとすげえなあと楽しさ倍だと、個人的には思っておるんですよ。私がコンテンポラリ好きなのもそういうところがあると思います。

万物は流転する一作。

「伯爵の無慈悲な選択」感想

「伯爵の無慈悲な選択/愛と背徳のローマII」感想/ハーレクインロマンス
ジュリア・ジェイムズ著

 で、前作「億万長者と愛の形見/愛と背徳のローマI」にて引っ掻き回すだけ引っ掻き回してくれた母娘の娘の方がヒロインの物語です。愛は盲目というかほんまにのう……という話だったよ。
 なして前作にて今回のヒロインが暴挙に出たかというと前作でもちょろっと語られてましたが、今作にてヒーローにフラれたんで腹いせで結婚してやらあ!という。読んでる方はまあ「お、…おう」とならざるを得んというか、可哀想だとは思うんですけどやはりこういうことをされてしまうと心の底からは同情しずらい。しかし1作目では語られなかった今作ヒロインの影の頑張りがこの2作目では出てて、そこで挽回した感はありますね。
 いやしかし、ヒロインもやらかし系でしたがそれを上回るヒーローのやらかし具合は圧巻。さすがジュリア・ジェイムズ。ぱねえ。自分からフッといていざヒロインがじゃあ他の男と結婚してやらあ!ってなって凹んでたら実はヒロイン結婚してませ~んて知り、ヒロインの元へ行くんですけど、で、やらかすんです。
 これはない。
 うーわーヒーロー。これはないで。めっちゃ引く。さすがにどうかと。まあヒロインもしでかし系なんでお似合いなの?って言えなくもないけどいや確かにこういう愛ゆえの愚行も物語を盛り上げる上手いスパイスではあるんですけどうん!
 まあそんなんでヒロイン孕っちゃいましてね。ヒロイン的にはもう黙って去りたかったんですけど、1作目ヒーローがそれはあかんでってバラしちゃって。いろいろ話が複雑にはなっていくんですけど。でもヒーローの168ページの某セリフ読んじゃった私の脳内。

 てめえ

 さすがにどん引いた。うんいやそうだね。そんだけヒロインのこと好きなんだよね。だよねだよねそうだよねうん!
 でもこんだけどうかと思うヒーローヒロインだったんですけど、どちらか選べって言われたら2作目の方がより面白かったです。うん愛ゆえにいろいろしでかしてしまうドラマチック話好きなんで当然なんですけどでも不思議。

愛は多面である一作。

「億万長者と愛の形見」感想

「億万長者と愛の形見/愛と背徳のローマI」感想/ハーレクインロマンス
ジュリア・ジェイムズ著

 ペニー・ジョーダンのヒーローも大概な殿方多いんですがジュリア・ジェイムズのヒーローも結構負けてない。スミマセん私結構アレなヒーローが好きなんです最後豪快にデレてくれるから。
 それはさておきですな。金髪碧眼スッラーという美女だいすっきなヒーローがまさにそんな外見のヒロインに出会ってオノレの春を謳歌しておったんですけど、ヒーローお父さんの遺言でいろいろややこしいことになるんですねハイ。今作シリーズもので1作目なんですけど2作目ヒロイン予定のヒーロー知人がまあ豪快な自暴自棄をかましてくれてまして、ヒロインすげえとばっちり。ヒーロー知人女性(=次回作ヒロイン)が今作ヒロインに「ヒーローは金髪碧眼好き過ぎなん知ってたけどあんた典型やな(超訳)」みたいなこと言いましてキッツー!と苦笑してしまったもんよ。それは言うたらアカンやつやで。まあその後も暴言かますかます。ヒーローはもういやんなってヒロインへの誤解はあとで解いてとりあえずこの場を治めねば!と判断して、最終的にドツボに入ります。わかる。ヒーローの気持ちはわかる。しかしめっちゃ悪手。かわいそうなヒーロー珍しく。
 後々誤解を解こうとヒーロー頑張るんですけど、再会でこれまった悪手というか、これはむしろ運が悪かったというか言葉が足りんかったというかヒロインが早合点したというか。まあツイてないヒーロー珍しくない。
 そんでも誤解が解けて蜜月再び!と思いきや、またもこんがらがる二人。でもなんとかお互い話し合って解決してですね。最後にはお互い「コミュニケーション大事よね」って言い合って笑うんですよね。
 ほんまそれ。
 コミュニケーション大事!本当に大事!大事大事って言われてるの、みんな出来てないからだと思うんよね!私も頑張る!会話大事よ!あとすぐかっと怒らないこともね!
 とか言ってたらダークフォースかーちゃんがさらっと魔法の杖で万事解決してて最後のはさすがにちょっとえ?って思ってしまったっすよ。

冷静に会話することが本当に大事ですよという一作。