「情熱に気をつけて」感想

「情熱に気をつけて」感想/ハーレクイン文庫
ペニー・ジョーダン著

 突然ですが「認知の歪み」という言葉をご存知であろうか。あなたがお友達や同僚に何かを依頼とか伝えたときに返事に「了解」とだけ来たとする。ここで「よし伝わったな」で終わる人物と、そして「え、めっちゃそっけないけど何か悪いことした?伝え方悪かった?」とひたすらに悩みまくる、いわゆる歪みがある人物がおるぞ、というイメージなのですが、ペニー・ジョーダンのヒロインは時々歪んでない?ってくらいヒーローの好意をまっすぐに捉えない。まあいろいろあってゆえだし、そもそもヒーローの行為をどまっすぐに受け取って私も好き!など言おうものなら物語が六分の一くらいで終わってしまう。ページ数余りまくり。
 ということで今作ヒロインはまあとにかくヒーローの好意を「娘のため」とか「肉欲だけ」とか「ノスタルジア」だとかようそんだけ思いつくよな、ってくらいに受け入れない。いやわかるんやで?長年信じてきたことが実は騙されてて両主役はどちらとも被害者で、だからといってアッサリ受け入れられないのもページ数も。でもやっぱりヒロインの素直に受け取らなさっぷりはガチ。その分ヒーローが(珍しく)可哀想。めっちゃいい人よ。今作のヒーローは。我慢強いしでも口説きまくるし。ぜんっぜんヒロインに通じてなくてさらに涙を誘う。
 しかし面白かった。このずれがほんとうに楽しい。ロマンス界では認知の歪み is 最高! 考えた人えらい!
 今作は最後の場面でホロっと泣いてしまいましたよ。ええ話よ……。

連絡先は大事なのと言付けもよくない一作。

「脅迫結婚」感想

「脅迫結婚」感想/ハーレクインプレゼンツ作家シリーズ
ペニー・ジョーダン著

 ペニー・ジョーダンの本のタイトルはマジで「毎回脅迫結婚」「毎回いいがかり」「毎回愛なき結婚」とかつけてもいいのではというくらい、タイトル毎回違うのに「またか」という感が拭えない。しかし何故買っているのかというと好きだからです!!!!!!

 完

 まあそんなんで今回も当て馬性悪女にコロっと騙されてしまったヒロインとヒーローがああでもないこうでもないと画策したり逃げたり覚悟を決めたり諦めたりしながら愛にたどり着く内容で、もうね、毎回言ってますけどこういうこじれた男女の恋愛話ほんとおいしいですハアハア。三次元でこんなん存在したら天誅!って言いながら刺したい衝動に駆られると思うんですけど小説ならなんでこんなに美味しいのか。フィクションって本当に素晴らしい。フィクション万歳!人類が考えた最高傑作だと思わないかい◯シンジ君?
 や、ほんと、ヒロインが愛されてないのに!って嘆くのも見所なんですけど、今作はヒーローが苦悩しまくってるのが読んでてええよええよ~ってなってします。いやね、これハッピーエンドってわかってるから両主役の苦悩部分読んでて楽しめるんで、ラスト悲恋だったら二度とこの本を見ることは無かったエンドになりますよもちろん。なんというかカタルシス?を求めて読んでいるわけですよ当方。ということでハッピーエンドロマンスはいいよ。
 あとガチの私の性癖というか好きシチュというか、ヒロインが悩みに悩んでヒーローへ妊娠したことを告げるタイミング掴めずにいたときになんらかのきっかけでヒーローにヒロインの妊娠が知れてしまうパターンが好き過ぎて白米が進む。

好きって言ったら3ページで終わる話だが言わないだけでここまで楽しくなるのかとびっくりする一作。

「Only with Your Heart 烈炎の騎士と最果ての恋人2」感想

「Only with Your Heart 烈炎の騎士と最果ての恋人2」感想/Jパブリッシング
泉野ジュール著

 平成最後の感想ですね。
 続編です。さあ両思いになったしラブラブ生活満喫だぜ~と思ってたらとんでもなかった。いやほんと逆恨みって怖い。しかしヒーローは一切思わせぶりな行動とってなかったのに、じゃあどうしたら回避できたねん、といろいろ考えてみたりするのもまた一興。それはさておき。
 幸せに暮らしたい両主役にもうひとつ影がさす内容で、ヒロインの状況とかシャレにならん感じになっててハラハラドキドキというか、そのヒロインを想ってるヒーローの苦悩を読んで切ねえええ!って共感しながらというか慮りながら読み進めていく作品です。
 相変わらずのヒーローの情の深さよ……惚れ惚れする。言葉と行動でヒーローの若干ながら常軌を逸しているほどの情愛をこれでもか!と描かれてるのがガチで絶品。前作のヒーローの苦悩の描き方も素晴らしかったですが、今作はそれさえも伏線にしてさらにヒーローのギリギリの心情を容赦なく表現してあります。ヒロイン好きすぎてやべえな、ってヒーローが好きな方には是非お勧めしたい。もちろん1から読んで!
 今作の個人的見所は馬!馬!うま!!!!!
 知ってた!ヒロインがガッツンガッツン乗れちゃったら残念だなって思ってたの知ってた!ですよね!そこは譲れないですよね!わかる!わかります!そうでないと!そして!お約束の友人の煽り!すき!!!!!
 あとぱんいち!ダイレクトにいろいろダイレクトにわかるぱんいち!バカヤロウTLの騎士に慎みを求めんなぱんいちは正義!もしくは作者の誠意!言ってることが意味不明!ごめんなさい!
(しばらくお待ちください)

 あとは中盤にてヒロインを守っていた某青年がいい人なので幸せになってほしい。彼主役のスピンオフ読みたいです。
 楽しゅうございました。

 世界を救った勇者達のその後のさらにその後の一作。

「裏切りのゆくえ」感想

「裏切りのゆくえ」感想/ハーレクイン文庫
サラ・モーガン著

 この手の話はほぼ九割八分くらいの確率で無罪だったりするんですが、だかしかし、どこでどうそれが無罪だと判明しそう至った経緯をいかにドラマチックにしかも説得力あるようにするのが作者の腕であって、サラ・モーガンさんはその辺もめっちゃ上手いんでもう安心して読めるっていうか楽しんで読めるっていうかまあさすがでした。
 サラ・モーガンのヒロインはいつもおもろいこと言ってくれるんで、正直そこまで頭まわるんだったらええんじゃないの?って思ってしまう私は関西人。顔の美醜と発言の面白さも重要視される地域…そしてヒーローもヒロインの美醜よりおもろいこと言うことにも惚れてるからギリシアは関西…てかヒロインも美人設定です。美人で頭がいいらしい姉といつも比べられ卑下されてきたので自身のないヒロインがだんだん追い詰められ、最終的に姉に泣きついたら…という中身というか内容でして。作中ではヒロイン姉は亡くなっている部分から始まり、姉の行動が徐々に明らかにもなってきて、という感じで、これ姉側の心理とかも妄想しながら読むとめっちゃおもろいな!と一人興奮している。姉の最後の行動から察するに姉側も母親の自慢にのっかり(わざとでもそうでなくても)、妹をバカにしておって、そんな妹がスパダリ捕まえて、内心穏やかでなかったところにヒロインに泣きつかれ、つい出来心、もしくは明確な嫉妬からあの行動、とか心理を深く考えて行くと非常に楽しい。
 そして今作はそれだけでなくもう一つ大波が用意されてて飽きがこない。最終的なちょっとドタバタもいかにも!て感じでサラ・モーガン好きにはたまらん内容でした。サラ・モーガンの超絶俺様ヒーローもよいよい。

コミュニケーション大事ですよ!という一作。

「十八歳の許嫁」感想

「十八歳の許嫁」感想/ハーレクインセレクト
アビー・グリーン著

 確かにヒロインは十八歳のときにヒーローに初めてフィアンセとして出会うけど婚約はもう少し前からだったししかもメインはヒロイン二十一歳からでタイトルだけで妄想するとアレ?ってなってしまったりしますが、それはそれ。経験のほとんどない若いお嬢さんが熟成された百戦錬磨の殿方に翻弄されるとおもいきやその実殿方の方もヒロインの純粋さと情熱に慌てふためいていたという萌え萌えの設定です。好物です。
 あとね!アビー・グリーンは萌えシチュをぶっこむの上手いね!同作者の別作品でビリヤードのシーンにウッハー!最高か!という語彙が消え去ったのでサブリミナル効果でビリヤードって言いまくったこともあったんですけど、今回はタンゴですよ。しかも!アルゼンチンタンゴ!知らない?動画見て!ほんっと素敵だから!(とは言うものの私はテレビで観たので動画を検索したことはない)それをヒロインとヒーローに躍らせるのはもうこれ堕ちるしかないやん?ってヒロインでなくて私がね!てなもんで踊りのシーンとかひょえええええええと奇声を発しながらの読み。側から見てたら完全に不審者!でも一人で読んでたから大丈夫!そもそもヒロインはわかる。ヒーローがしれっと踊れるの普通に考えたらどうかしてるような気もするけど小説だしロマンスだしもう全然アリ!(日本語おかしい)
 でですね。肝心のロマンスももうね、ケンカップル?ヒロインはヒーローに惹かれながらも愛のない結婚なんて!て拒否ってるんですけどもう崖っぷちに立たされてやむなく結婚するんですよね。ヒーローも口ではこれは契約で仕方ないんだよ結婚するしかーって言ってますけど、めっちゃ執着してるやん?いやヒーロー、冷静になれよ別にヒロインでなくてもいいやん?好きなんだろ?一目惚れだろ?ってツッコミがなら読むのが今作の礼儀。お互い素直になれないんで作中もモダモダこじれたりして、でもそれが解けていってますます二人は惹かれていって。はーほんと楽しいっすよ!(サムズアップ)
 あと、いつも思うんですけど、アビー・グリーンの中でヒーローと読者を寸止めにさせる引き出しバリエーション多過ぎ。どんな手を使ってでも中盤以降まで引っ張る手腕よ。

ツンデレ×ツンデレな一作。

「深紅の刻印」感想

「深紅の刻印」感想/MIRA文庫
イローナ・アンドルーズ著

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 どこをどう読んでも切り取っても格好良過ぎて悶える。シーンの、セリフの、感情のひとつひとつがもうドラマチックというか格好いいというか。なんと言えばいいのかわからない!とりあえず最高でした。
 ストーリーもものすごい凝ってて、しかも間も空いててぶっちゃけたところ通して読まないともうよくわかんないところとかも出てくるくらい込み入ってて、でもそういうところもいい。すげえ練られてる構想の上に、若干のチートも入ってるくらいのヒロインの格好よさなんですけど、それを上回るヒーローの男前ぶりがもう尊くて心臓が止まりそうになる。なんなのヒーロー。あのヒロインに対等になるにはこのくらいのレベルの殿方持ってこないとダメなのわかるけど素敵。それしかいいようがない。適度に傲慢で適度に思いやりもあり適度に人間臭くて、そして適度に凶暴。なんなのこのチートなのに適度って意味わからん。あれだ、五段階評価で20とか取る感じ?ますますわからん。しかし何がすごいって、そんだけすごいヒーロー持ってきてるのに、最後に全てをかっさらうのはやっぱりヒロイン。ヒロイン最強伝説。なのにこのヒロインもまあ、過去を掘り下げてるんで、すごい有能なのもうなずける設定で、ほんとすごく練られてて感嘆のため息しか出ない。
 いやでも本当に表現力もすごいんですよ。ヒロイン、ヒーローの仕事できぶりの表現から、ちと人間的にアレな人の描き方もすごいし、そしてほんっとすごいと思うのが、人間の嫌なところまで表現するのが上手い。兄弟の確執とかさらっとそんな表現でできちゃうんだ!ってびっくりしました。そしてそれを日本語に翻訳して世界観を鮮明に横写ししている訳者さんもすごい。
 ほんとこのシリーズはもう一度最初から最後まで通しで読み直さねばならぬ。

シリーズ最終章ですけど全然終わってない一作。続きはよ。

「あの日、茜色のきみに恋をした。」感想

「あの日、茜色のきみに恋をした。」感想/ファン文庫
街みさお著

 小学生のときにいじめられていた主人公(女性)が、小学校の教師になってそのいじめられていた時代にいた小学校に赴任したら、じぶんをいじめていた人物(男性)に再会してしまう、という序盤から始まる物語です。仮に自分がこの主人公だったらもうものっそいテンションダダ下がりだなあとチベットスナギツネのような顔になって想像してたりもしましたが、この作品の主人公は輝いてた。
 すごく丁寧に内容が練られてまして、ああこれがこうなってそしてこうなのね、という一連の流れがすごくスッキリしててしかも説得力もあってよかった。無駄もない洗練された内容だと思うし、だからといって無機質でもなく小ネタも挟んであったりして塩梅がちょうどいい。
 で、話は戻りますが、そんなんでおそらくヒロインも最初は「ないわーこれはないわー」とか思いながらも、生きていくために仕事もせにゃあならんし、というか自分みたいな子供を一人でもなくしていきたいという思いもあって仕事したくて、そんな自分のことをいじめていたダンスィーにかまけてる場合じゃないんですよ!とばかりに塩対応だったんですが、ところがどっこい。いじめっこにはいじめっこの方の思いもありまして、大人になってるんでもうちょっとやりようもありまして、で、主人公はほおっておいてもらえず。しかも元カレも登場して!てかこの主人公が元カレをあしらう場面がすごい好きなんですが、それはともかく仕事も忙しいのになんやロマンスも不本意ながら忙しい感じに?という淡いラブも入ってておいしい。
 主人公が過去の思いとかしんどいことに引きずられて激昂するシーンとか、終盤にまさに己に似た子供と向き合う場面とか、今回も涙腺弱々で泣きながら読んでました。ええ話よ。そしてあくまで私個人の話なのですが、やはり自分に置き換えて、自分は主人公の立場だったら絶対こんなに大人な対応できないしする気もないんですけど、でもフィクションという形でこういう昇華は全く以って有りでしょう!と思っております。そんなんでヒロインが受け入れたところも、そしてそういう彼女が教師を選んでそれに就けて生きていくのも、どれもが前向きで素敵でした。

食い物の恨みは恐ろしい一昨。