「誘惑はシチリア式で」感想

「誘惑はシチリア式で」感想/ハーレクインセレクト
サラ・モーガン著

 ううううううるさい!一人が好きなんじゃ!別に顔も体も魂もイケメン宛がってくれとか言ってない!なんで寂しいのがあかんのじゃ!
 と声を大にして言いたい時も無きにしも非ずですたが、基本ハマりました。面白かった。サラ・モーガンはええよ……。
 ヒロインは、身内で一人の相手と添い遂げた人間が居なかっただけでなく、母親に不当に扱われてたのもあって、ヒロインに珍しいサウザー状態(=愛などいらぬ!)だったんですよ。でも根っこでは、人一倍愛に飢えてて、本当は愛情深い人間で、枷を取ったら素晴らしい人生送れる、キュートなヒロイン。それは分かる、めっちゃ分かる。でもな。
 ヒロインはことあるごとに周りから恋人作れ結婚せえ結婚せえ一人は寂しいじゃろ愛はええよペアになろうよ読書とかばっかせんと外に行こう一人なんて駄目ダメダメ……

 うるせええええええええええ!!!!!!

 とヒロインもだけど私がキレた。
 いや先ほども申しましたが分かるのよ、ヒロインは本当に一人がいいって心の底から思ってる人物じゃ無いのを。でもな。余りにも作中でなんかこう一人はいかんぜよと言われているヒロイン見てたらこう居たたまれない気持ちになってさあ。寂しいことは悪いことでないで?と思わずこうさ。何もうこれが負け犬思考なの?知らんけど。とはいうものの、ヒロインの食事に対する傍若無人ぶりは確かにどうかと思う。ここか。そういうことか。だからか。
 てなもんで作中にて所々イラっとしてしまったのもあるんですが、ヒーロー像がガチイケメンだった。いろんな部分で男前だった。これはいいシチリア人。なるほどタイトルやで。
 ヒロインのかたくなな心をイケメンヒーローが優しく溶かす、ってイメージ持たれるかも知れないっすけど、実際は5メートル上の高台からいきなり突き落とされてぎゃーってなって落ちたところがめっちゃ気持ちいい温泉って感じの話でしたよ。怒濤の攻め。

私もこの舞台のモブとして登場し「なんてイケメン」ってヒーローを眺めたいと思った一作。

「この長い夜のために」感想

「この長い夜のために」感想/二見書房
シャノン・マッケナ著

 正直に申しますと、中ほど〜後半は結構読むのがしんどかったです。#09と#10の緊迫感とスピード感が素晴らしかったのもあったのかもですが、というか序盤とか全てのシリーズ通りの面白さだったんですがね。というのもヒロインがね、だんだん彼女にイラっとしてくるんですわ。最初はうんうんと読んでたんですけど、このお嬢さん、フッツーのお嬢さんなのに、命狙われてて、なんでそこまでかたくなに「人の世話にならん!」と言えるのか、「敵に負けたりしない」とか言えるのか。いやあなたがそれこそお世話になってるタマラさん(#06ヒロイン)みたいに数々の修羅場をくぐり抜けてきたならまだしも、てか彼女も重要な部分はマクラウド兄弟とかに頼ってたからね? 確かにあなたも修羅場は通ってきたけど、だからってその後自分を鍛えたりとかしてないんじゃろ?なんなのそのかたくなさは。他人の心配も迷惑ってか!
 そんなんでキレ散らかしながら読んでまして、途中でヒーローも「もうマヂ無理(超訳)」ってなってて、さすがにこれはヒーローが投げても許されるわこんなん。正直ざまあって思ってしまうくらいのヒロインの身勝手さで、は?これがシリーズ最後なん?って、がっかりしてましてん。

 途中までは。

 シャノン・マッケナ神の手のひらの上で踊らされてましてん私。
 そもそも、このヒーローが「無理ぽ(超訳)」って言ってるのに読者がスカっとするのも、マッケナ先生の計算のうちだと後から思ってですな。最初は「物語を進めるためなんじゃこれは。だってヒロインが隠れてたら物語進まんじゃろだから我慢せえ」って自分に言い聞かせてて、ヒーローが一旦ヒロインから離れてもどうせ後で合流するんじゃろ、とか斜に構えて読んでた。
 違いました。
 最後のヒロインの、両親への思いが書かれた部分で、それまでの一連のヒロインのきっつい行動が物語を進める為だけじゃ無かったんだ!って目からうろこというか開眼というか、これを書くための伏線だったのか!と。最後になって一気にテンション上がってヒャッフー!最後に素晴らしい一作だった!と。申し訳ない手のひらを返したような勢いでしたが、よい話でした!上記の理由で途中ダルみましたが、最後まで読んだら泣いた。ええ話でした。
 そんなんで、ヒーローが一旦離れてそれこそ物語を進める意味もあったかもですが、ここで読者がこれはしゃーないと思わせるほど、作者自身もヒロインの行動をどうかと思わせたくそこまで書いたんで、それを踏まえ、ラストがあるんだな!と。多分!!!
 以上勝手な考察なんですが、今作も非常によかった。面白かった。いやでも、ヒロインとヒーローが一旦分離してからの展開はほんっといいっすよ。それまでのヒロインへのイライラも一気に解消される。最後の最後も泣いたわあんなん……レイチェル……ミーシャ……幸せにな……。

 ということで、マクラウド兄弟シリーズ最後まで楽しみました!
 結論としてシャノン・マッケナ先生は神ですが、旧約聖書の神で、油断したらソドムとゴモラみたいに硫黄爆弾ぶっ放される仕様です。

 こちらマクラウドシリーズですが、このブログにて面白いですよとお勧め頂いたもので、そういう縁あって入手しましたが、大変楽しみました。お勧めありがとうございます。この場お借りしまして御礼申し上げます。

 シリーズ最終話だけあって最後の最後は本当にファンサ有り!な一作。

「夢の中で愛して」感想

「夢の中で愛して」感想/二見書房
シャノン・マッケナ著

 ちょっと続き物で、#09にてチラ見せされたすっげえオッサンと#10でガチ対決すんのがあのマイルズ君なのかよマジか……ってページめくったら、そのヒーローにのし上げられたマイルズ君も最新のOSまでバージョンアップが済んでた設計になってました。
 そもそもシャノン・マッケナ先生のこのマクラウド兄弟シリーズは、ヒーローになる前にヒーローになる為の洗礼みたいなのが前作で行われる仕様になってて、多分#01のセス#06のヴァル以外(セスは単純にシリーズの1作目だったからという理由で)、歴代ヒーローは、主役になるまでに敵に踊らされたり普通に巻き込まれたりで、そこそこ酷い目に遭ってる。これが神=マッケナ先生によるしるしなん?カインとアベルみたいなもんなの?って正直歴代のヒーローに対して同情しか無い。で、おそらくそんな洗礼を何度も……かわいそうなくらい何度も受けてるマイルズ君が、確かシリーズ序盤〜中盤のマクラウド兄弟が主役だった頃に片思いだった彼女とカップルになってラブラブになれたマイルズ君が、#09にてその彼女に浮気されてフラれたという、もうなんというか「近日主役になります=それまでにごっつい酷い目に遭います」という盛大なフラグをおったててくれてましてね。涙を誘う。
 そのマイルズ君=ヒーロー、案の定前作できっつい目にあってて、そのせいでなんかすごいダウナーになってて、最新のOSまで上げられたら自動で性格もマクラウド兄弟アプリがインストールされてた。いやこれはシリーズ序場から中盤まで、武闘ど素人エリアにいたのに周囲の人間に気付いたらいろいろインストールされてたのに近い。そして気付いたら彼女がアンインストールされてた。悲惨かよ。
 いやこれ誰しもダウナーになるわこんなん……どっちかというとそれまで普通だったヒーローの通常の遷移かも知れん……いやごめんなさいこんな状況で「普通」「通常」って何だってなるよね申し訳ない。
 ということでシリーズ内、超常現象マックスでお送りされる今作で、#09にてチラチラ出てきたやっばい方々も出てくる中で、ヒーローがものっそい、タフガイになっててさあ……あんなに普通な青年だったのになんだってこんな修羅場に即時対応できる武闘派に……あれよね、医学系の若い青年にノリで額にネクタイ巻いてみてよ、ってお酒の席で言ったら、今までどんだけその作業させられてきたん?ってくらい完璧に額にネクタイ巻いてくれてさあ……修羅の世界かよってお酒の席なのに苦労が忍ばれ泣きそうになったのに似てない?似てない?そうですか……似てないですか……。
 いや、でもね。そんな最新OS積んでるヒーローなんだけど、元があの純朴な青年だと思うと、なんかこういつか何かしでかすのではないかとヒヤヒヤして読んでました。なんだこれおかんの心境?でも最終的にヒーローは立派でした。強くなったのねマイルズ君……数々の洗礼のおかげで……。
 そしてこれもマッケナ先生の洗礼なん?って思ったんですけど、前作でヒーローだったタフガイ仲間が後のシリーズでも助けに来てくれたりすんの、ちょっとファンサも入ってると思ってたんですが、先生の作品になると前作で活躍して後に脇役で出てるだけなのにガチで死にそうになるのね。ファンサじゃねえなこれ。人生厳しいって教訓か。物語といえど。
 ということでマッケナ先生は結構な鬼だとも思いましたが、さすがのクオリティ。すんごい面白かったです。
 あれこれ感想……?感想なのかな……?感想?

善悪表裏一体の一作。

「その愛に守られたい」感想

「その愛に守られたい」感想/二見書房
シャノン・マッケナ著

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 やめろ!やめるんだ!
「ああ#01のセスもいいけど#06のヴァルも好き……どっちが一番なんて決められない」ってマクラウド兄弟シリーズの最推しをどっちにしようか、結構どうでもいいことでずっと悩んでいるところに、新たに第三勢力をぶっこんでくるのは止めるんだ!
 あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!
 アレックス格好良かったです!

 ということで個人最推し決定戦が三つ巴になりましたが、今作も非常に面白かったです。
 おいやめろ自分の最愛の、お世話になった知人に会いに行くのとヒロインを助けるのとでめっちゃ葛藤して、しかも理由を言わずに仲間に「白状なやつ!」とか思わせるのはやめろ!読んでる方がきゅんとするからやめろ!おいやめろ!ヒロインの髪をめっちゃ美しく切るのはやめろ!スタイリストでもないのにヒロインが感動する腕を披露するのはやめろ!読んでる方が惚れるからやめろ!いつも冷静な有能ヒーローが知人に会いに行って茫然自失としてしまうのをヒロインが慰めるのもやめろ!そこだけ五回読み返して先に進まなかったからやめろ!めっちゃええシーンやってバス内で泣いたからやめて!もうマックスのめり込んだから本当にやめて。私の心に第三勢力として入り込むのやめてマクラウドシリーズなのに肝心のマクラウド兄弟にそんなにハマってないのが本当にバレるからやめて。
 だいたいシャノン・マッケナ先生はヒーローの心情をガッツリ書いてきて本当にそこが面白くてドはまりする。作者さんは女性なんで恐らく芯から男性のことを理解しているとは思えないけど、女性がハマる男性心理を的確に刺してくる、少なくとも私には刺してくるんで多分馬が合う(ど失礼)。
 相変わらずちょっと超常現象も入ったサイエンス拠りサスペンス要素の込み入り方が好き。真実とハッタリを上手く混ぜ込んで読者をのせる素晴らしさよ……。ハマる。面白い。ハラハラとラブラブの緩急もいい。面白い。
 このたびはあらすじにいい具合にだまされて、いったいどんな話なんだよって思ってたのに、いざページめくったらしょっぱなから全速力で飛ばしてるぐいぐい設定で素晴らしかった。
 でもって毎回思うんですけど、主役達に相対する所謂「敵」の描写がまたええんですよ……。小物から大物まで書き分けてはるのがねえ。序盤でイキってるキャラが、中盤でキモの大物と対峙するシーンがあってですねえ。読者もイキりキャラのすごさと厭らしさを実感してるんですけど、それをさらっと超えてく台詞がもうね……素晴らしい。ネタバレ入りますが「そんなん薬使わんでも分かることやん?(超訳)」ってあの台詞しびれたわ。この台詞一つでもうあの御仁やっば……って読者に分からせる。ほんとすごい。
 しかしこのたびのラストは上記の御仁が活躍し過ぎ感もなきにしもあらずでしたが、それでもあれはあれで良し!と思ってる。キャラ設定か。でも相変わらずラスト展開が神ってるわ……見事にだまされたよ……いいよ……。
 なにげに#10に続く!でしたね。

おそロシアよりやばいウクライナだった一作。

「宝石商リチャード氏の謎鑑定」感想

「宝石商リチャード氏の謎鑑定」感想/集英社オレンジ文庫
辻村七子著

 こちらもまた「小咄集合型小説」です。いや本当にさあ……何度も言うけど、こういう主役固定型の、うんちくと話を混ぜて一話一話話作る人の脳内どうなってんのよ……素晴らしい……。
 てなもんでこちらも面白かったです。キャラが立ってていいですよね。ロイヤルミルクティー過激派という言葉を思いつくのもそれが似合うキャラを作るのもなんというかいい。発想力の素晴らしさよ。
 ただねえ……こちら1話目とか2話目とか3話目とか、石のお話と人のお話を絶妙に混ぜたほんといい話ばっかりだったよ、と感動してたんですけど、4話目でですねえ……。
 2話目で「同性しか好きになれない、普通でない」ことに悩む女性を扱いながら、4話目で「天然な主人公が発した不用意な言葉で周りから同性の恋人がいると勘違いされたコメディ」を出してくるのはどうかと思いまして。こちら全然別作品でどちらか扱う分には全く気にならなかったと思うんですけど、同じシリーズの、しかも一冊の本に入れちゃったことで、なんか4話目の途中まであった感動が一気に冷めた。いや、このシリーズが最終的に主役の男性二人が恋人同士になる話ってんならまた別なんですけどね。おそらくそうではない。で、作中でも周りの一見「理解してるよ」と言わんばかりの決めつけも正直気持ち悪かった。さっきも言いましたけど、2話目が無く、そしてこの作品がBL展開になるならおそらく全く気にならなかったと思う。いやBLにならなくても本当に2話目が無かっただけでよかった。それ故非常にもったいない、と思った次第です。
 ただ、やっぱり「石」「鉱石」に関する作者さんの知識と愛が素晴らしい。そしてそれに対する登場人物から通して見える愛情ですかね、なんか好き〜というのが伝わってきて非常に素晴らしい。で、上記の件はともかく、主役二人の設定もまたいいんですよ。1話目とかで語り手の方の主役の男性のバックグラウンドもあって、それに対する宝石商の男性の態度もよくてね。こちら昨年に、恋愛感情を一切含まない男性同士の厚い友情が楽しめる作品お勧めありませんか?って某所でお伺いしたところ、お勧め頂いた作品でして、その辺りも非常にお勧め通り楽しませて頂きました。よかった。特に1話目は素晴らしく、冒頭として採用し読者を惹き付ける目的に添うならば文句無しの内容だとも思って、まあその通り最高〜って狂喜乱舞しておりました。主人公の母親のものの考え方がすごい好き。いいなあと思うです。

石にまつわる人間の感情を読む一作。

「契約結婚はじめました。〜椿屋敷の偽夫婦〜」感想

「契約結婚はじめました。〜椿屋敷の偽夫婦〜」感想/集英社オレンジ文庫
白川紺子著

 完全にタイトル買いでした。
 ところでこの設定でほわっとした表紙で、ほのぼの系で愛を育んでいく話?と思っておりましたが、まあそうなんですが、こちらもいわゆる「小咄集合型小説」でして、主役は一緒なんですけど登場人物が持ってくるやっかいごとコマゴマを解決していくものです。おおきな犯罪まではいかないんだけど、そこそこ大事な事情を抱えた話が多い。それがほぼ椿に関係しててですね。この手の小説読むたび、いや本当にどこから小ネタと話の絡み考えるのすげえな、と感心しかない。
 とまあそんな感じで、契約結婚している二人の仲もちょっと進みながらも事件解決話がメインで進むんですよ。ええ、契約結婚ですよ。ええ。言わずとも分かりますかね大好物ですよ。このタイトルだけで買ったんだもん。ハイ!素晴らしかったです!ヒーロー(主役男性ってことでそう言ってもいいと思う)がわざとなのか天然なのか分からんですけどこいつたらしかよ……対ヒロインに対してたらしかよ……契約結婚でお互いのパーソナルスペースは大事にしようねとか言ってあれは……!一話目の最後のアレは……!たらしかよ!ごちそうさまです!はっきり言って最高でした!なんという幸先明るい1話目!!!!!
 ということでまあノリノリで読んでました。いや本当にね!ガっと仲が進まないの。でもじわじわつめてく感が本当に素晴らしいの。数値化したら話ごとに3パーセント〜8パーセントずつくらいつまっていく感じなの。素晴らしいのよこの進み具合。はー好き。
 ところでこちらの作家さんの作品は初めて拝読致しましたが、人の心の暗い部分の描写がけっこうえぐいっすね。主人公夫さんの弟さんに対する感情とか、主人公妻さんの育てのお母さんに対する感情とか。なんともいえない部分をきちっと文字化してそれを読者にぐいぐい示してくる、なんというか表現の理解度の深さと圧?みたいなものがすごい。言うなれば具現化なんですかね。こうモヤっとしたものを的確に表現してて、それ故こう人の持つ感情の豊かさ、良い部分もそうでない部分も全部分からせる表現力がすげえっと。さっきからすごいとしか言ってないっすね。これが凡庸な人間の語彙力の限界。そしてこの作品がプロ。そういうことですかね。
 あと「家」視点で語られるって設定もいいですよね。その設定で生じる限界も、小道具で上手にほのぼのと回避して手を伸ばしてるのもすげえな〜と感心しました。ほんとうにすげえしか言ってないな。

進化型壁に耳あり障子に目あり……な一作。

「主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅」感想

「主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅」感想/富士見L文庫
桜川ヒロ著

 面白かったです!
 スカっとする!
 いや別に巨悪と戦わなくてもいいのよ。うん巨悪と戦ってガッツリそれを乗り越え勝つ話も好きですよ。でもね、日々の暮らしで、何かを懲らしめるとか、いやもうそこまで行かなくても、なんなら五百円拾ったから、迷ったけど交番に届けたら、ちっちゃな子供がおばあちゃんに貰った五百円を落としたってんですっごい泣いてたところに出会って、無事返せたみたいなのでも全然いいんですよ。伝わりますかねこういう日々の何気ないスカっと感。
 そういうのが味わえるお話でした。いやねえ、みんな日々なにかを抱えて生きてるんですよ。楽しそうに生きてる人間だって悩みを抱えてるし、一般的に成功してる部類に入るであろう人間だって悩みはある。なんなら歴史五百年以上の雁国の王だって悩みを抱えてる(唐突)。主役も例外でない。どんな年のどんな境遇の人もいろいろあるんすよ。で、でも悩みを抱えつつも、そういう悩みがあってこそ他人の悩みも汲んで、自分の強みとかを生かして、仕事もしつつ、そしてその流れで他人のお悩みまでちょこっと解決の方向へ導く。こういうところですよね、って思うんです。しみじみスカっとするんですよ。一番すきなシーンは、メイン主役の女性がバイクに乗るシーンね……読んでる方のワクワク感がね……そもそもそれまでに彼女は、会社立ち上げた仲間二人より自分があんまり役に立ててないんじゃないかって悩むシーンもあってですね。でも社会ってそういうとこよね。全員が完璧なのあり得ないから、それぞれ得意分野を持ち寄って補って機能させてくのよね、という流れ。すっごい好き。そもそも主役たちが考えた仕事も、日々暮らすのにどうしても家のことができない人に対して、それが得意な人が補うってことで、そういう仕組みもいいと思うし、そしてそれを逆手に取って闇の部分も書いてるところがまたすごいと、いい驚きも頂きました。
 個性豊かで、有能だけど完璧でもない。その塩梅も素晴らしい。だからスカっともするし、同時にこんな上手い話あるかいとかいう嫌味もない。以前拝読した「妻を殺してもバレない確率」でもその配分?を絶妙なバランスで書いておられるなあと思っておりましたが、今作もそれが楽しめて感動してます。
 読み専なんで分からんのですが、この手の主役が固定で依頼人が次々来る「小咄集合型小説」(←勝手に命名)って、ネタを探すのにすごい大変そうなイメージあるんですけど、どうやって集めてるんだろうっていつも思っておりまして。それはさておき個人的に一本の話を書くより難しそうな気がしていますが、それでも可能であれば「主婦やめます!2」を読みたいと思っております。
 あとメイン主役のりっちゃんの特性が某二時間ドラマを連想させそのまま女優あき竹城さんを思い出しそしてそのままイモヅル式にロシア氷上の皇帝プルシェンコを思い出してしまい、りっちゃんとプル様がなんか私の脳内でペアになってしまっている。ニッチなネタで申し訳ない。

適材適所の一作。