「契約結婚はじめました。〜椿屋敷の偽夫婦〜」感想

「契約結婚はじめました。〜椿屋敷の偽夫婦〜」感想/集英社オレンジ文庫
白川紺子著

 完全にタイトル買いでした。
 ところでこの設定でほわっとした表紙で、ほのぼの系で愛を育んでいく話?と思っておりましたが、まあそうなんですが、こちらもいわゆる「小咄集合型小説」でして、主役は一緒なんですけど登場人物が持ってくるやっかいごとコマゴマを解決していくものです。おおきな犯罪まではいかないんだけど、そこそこ大事な事情を抱えた話が多い。それがほぼ椿に関係しててですね。この手の小説読むたび、いや本当にどこから小ネタと話の絡み考えるのすげえな、と感心しかない。
 とまあそんな感じで、契約結婚している二人の仲もちょっと進みながらも事件解決話がメインで進むんですよ。ええ、契約結婚ですよ。ええ。言わずとも分かりますかね大好物ですよ。このタイトルだけで買ったんだもん。ハイ!素晴らしかったです!ヒーロー(主役男性ってことでそう言ってもいいと思う)がわざとなのか天然なのか分からんですけどこいつたらしかよ……対ヒロインに対してたらしかよ……契約結婚でお互いのパーソナルスペースは大事にしようねとか言ってあれは……!一話目の最後のアレは……!たらしかよ!ごちそうさまです!はっきり言って最高でした!なんという幸先明るい1話目!!!!!
 ということでまあノリノリで読んでました。いや本当にね!ガっと仲が進まないの。でもじわじわつめてく感が本当に素晴らしいの。数値化したら話ごとに3パーセント〜8パーセントずつくらいつまっていく感じなの。素晴らしいのよこの進み具合。はー好き。
 ところでこちらの作家さんの作品は初めて拝読致しましたが、人の心の暗い部分の描写がけっこうえぐいっすね。主人公夫さんの弟さんに対する感情とか、主人公妻さんの育てのお母さんに対する感情とか。なんともいえない部分をきちっと文字化してそれを読者にぐいぐい示してくる、なんというか表現の理解度の深さと圧?みたいなものがすごい。言うなれば具現化なんですかね。こうモヤっとしたものを的確に表現してて、それ故こう人の持つ感情の豊かさ、良い部分もそうでない部分も全部分からせる表現力がすげえっと。さっきからすごいとしか言ってないっすね。これが凡庸な人間の語彙力の限界。そしてこの作品がプロ。そういうことですかね。
 あと「家」視点で語られるって設定もいいですよね。その設定で生じる限界も、小道具で上手にほのぼのと回避して手を伸ばしてるのもすげえな〜と感心しました。ほんとうにすげえしか言ってないな。

進化型壁に耳あり障子に目あり……な一作。

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